講座詳細
エマ女王の夏の離宮(ハーナイ・アカマラマ)
ホノルル、ヌウアヌの谷にひっそりと佇む王家の別荘
ホノルル、ヌーアヌの谷にあるエマ王妃のサマーパレス(夏の離宮)は、別名ハワイ語で「ハーナイ・アカマラマ」(月の養子)と呼ばれ、1800年中頃、暑さと厳格な宮廷生活から逃れる別荘として、カメハメハ4世のお妃、エマ王妃とその家族により使われていました。王と王妃と幼少の息子アルバートと幸せな時間を過ごした場所でした。
建物は1848年にこの土地をハワイ政府から購入したハワイ系白人、ジョン・ルイスにより建てられました。家の骨組みはボストンで作られ、ハワイに輸送し、ギリシャ風リバイバル様式で当時流行っていた東部建築方式とハワイ建築様式が融和された独自の建築となりました。
カメハメハ王朝の宮殿はここヌウアヌのサマーパレスとハワイ島コナにあるフリヘエパレスになります。
イオラニ宮殿とともにアメリカ唯一、ハワイ州に建つ宮殿がこの3つとされています。
エマのサマーパレス
1850年にエマ王妃の叔父であるジョン・ヤング2世に売却され、ハワイ島先祖代々の郷里にちなみハワイアンネームの「ハーナイ・アカマラマ」が名付けられました。その後子供のなかったジョン・ヤング2世の遺言により、エマ王妃の手に渡りました。
サマーパレスは国家歴史登録財として認定され、パレス内にはエマ王妃の所持品を始め、当時の調度品、工芸品、そしてゆかりの品々が展示されています。
また、ドーダーズ・オブ・ハワイ(The Daughters of Hawai‘i)とその補助団体カラバッシュ・カズン(Calabash Cousins)が見守っています。
庭に佇む国家歴史登録財の印
玄関を入ってすぐ右の部屋には、4歳で突然に亡くなったエマ王妃のアルバート王子の誕生を祝い、夫のカメハメハ4世とともに注文した、ハワイ固有の木(カマニ、コウ、コア、ミロ)で作られた揺り籠が展示されています。
ベッドも2つあり、その上にはハワイアンキルトが飾られています。サマーパレスにはアンティークも含むキルトコレクションが24枚あり、古い物では1880年代に作られたものがあると言われています。
鳥の羽で作られた王家の象徴、カヒリも飾られています。
次の部屋はアルバート王子の遺品などが展示してあります。久しぶりの王家の跡継ぎの突然の死はカメハメハ4世、エマ王妃に大きな打撃になりました。
ガラス棚にはイエイエという植物を編んで作られた王子用の子供用のヘルメットや、消防士を夢見ていた王子の洋服なども展示してあります。
王子が亡くなって1年後に、夫のカメハメハ4世も亡くなり、悲しみに暮れたエマ王妃は、「マウナアラ」という二人が眠るロイヤルファミリーのお墓を2週間離れなかったと言われています。その後カメハメハ4世の兄、カメハメハ5世が王様になりましたが、世継ぎがなく、ここでカメハメハ直系は絶えてしまいました。
エマ王妃とカメハメハ4世は現在もホノルルにあるクィーンズ・ホスピタルを苦労して設立し、ハワイに暮らす人々に医療と安心を与えました。
一番奥の間は「エジンバラの間」と呼ばれ、王家の肖像画、ピアノ、ハワイ固有の木、コア製のロイヤルキャビネットなどが展示されています。
このロイヤルキャビネットはイギリスのプリンス・アルバートとビクトリア女王から王と王妃への結婚の祝いとして贈られたものです。ハワイのコアをヨーロッパに送り、キャビネットを作成し、ハワイに再び送り返したという素晴らしい家具となっています。 また、イギリス王室との深い関わり合いは肖像画を通して伺えます。
玄関から入って左の2つの部屋にはカメハメハ王朝に伝わる鳥の羽で出来たマント(’Ahu “ula)も展示してあります。
サマーパレス、貯蔵のキルトの中にある1900年に作られたとされるロイヤルカラー(黄/赤)のキルトは「カラカウア・クラウン&リース・キルト」と呼ばれ、マージョリー・ステーブンス(Marjorie Booth Stevens)から寄付されたキルトの一枚です。デザインの周りにはエコーキルトが施されています。時によっては、サマーパレス内で展示しています。(photo provided by Daughter’s of Hawaii)
カラカウア・クラウン&リースのキルト
エマ王妃が大好きだったというロケラニ・ローズを始めサマーパレスの庭ではたくさんの植物を見る事ができます。
エマのサマーパレスの庭で見られるロケラニ・ローズ
エマのサマーパレスの裏庭にあるコアの木
Queen Emma’s Summer Palace
2913 Pali Highway
Honoluu HI 96817
Tel: 808-595-3167
時間:毎日9時~16時 アメリカの祭日は休み
料金:大人一人$10、小人一人$1
ガイドツアーは通常英語ですが、日本語ツアーは前もっての予約が必要。
ガイドツアーに参加の場合は15時までに参加すること。
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藤原 小百合 アンAnne Sayuri Fujiwara担当講師
【インタビュー動画あり】
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。