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所用時間5min
2015.05.18

ハワイ諸島の構成

地理的な特徴


島の年齢と風景

ハワイ諸島は北西から南東にかけて、ほぼ一直線に連なります。南東端のハワイ島の地底深くにはマグマ溜まり(ホットスポット)があり、溶岩は絶えることなく地上に噴出しています。ハワイ島を含むハワイの島々は太平洋プレートに乗り、北西へと移動を続けます。(※「4-1-1-1ハワイ諸島とプレートの移動」を参照)誕生した島は、ホットスポットから遠ざかると溶岩の供給を断たれます。そのときから島は浸食が始まり、やがて海に消える運命にあります。


これを念頭に置くと、ハワイ諸島の性質がよくわかります。島々は南東端ほど新しく、北西端ほど古いわけです。新しい島(ハワイ島)ではまだ溶岩の噴出が続き、島は浸食よりも拡張の力が勝ります。島に大渓谷のようなものはほとんどなく、大部分を黒々とした溶岩が覆っています。一方、主要ハワイ諸島でもっとも古いカウアイ島では、地上部の浸食が進み、ワイメア渓谷やハナペペ渓谷など、大規模な浸食が見られます。火山活動は数百万年前に終了しているので、島の大部分は緑に覆われています。そのため、ハワイ諸島の上空を通過する飛行機から見下ろすと、北西に位置するカウアイ島やオアフ島は緑が濃く、南西に位置するハワイ島やマウイ島は黒っぽく見えることに気づきます。

海に流れこむ溶岩。一瞬海面は溶岩に呑みこまれすぐに巨大な噴煙となって空に立ちのぼる(ハワイ島プナ地区)


島の面積

主要ハワイ諸島のなかで最大の島であるハワイ島は、ビッグアイランドとも呼ばれます。面積はおよそ1万平方キロメートル。四国の半分ほどです。残りすべての島を合わせた面積はおよそ6000平方キロメートルですから、ハワイ島がいかに巨大であるかがわかります。


ハワイ島が突出して大きなことには理由があります。この島は、風雨や波による陸上部の浸食よりも、地底から供給される溶岩の量が多いため、ひたすら拡張を続けています。一方、北西部に隣り合うマウイ島は、ハワイ島の5分の1以下の面積しかありません。しかしマウイ島は、数十万年前までハワイ諸島最大の面積を誇りました。今日に見られるマウイ島、モロカイ島、ラナイ島、カホオラヴェ島は合体していて、いまより遙かに巨大だったのです。地質学者はかつての島をマウイ・ヌイ(大マウイ)と呼んでいます。マウイ島でもっとも古い地域は150万年ほどの年齢(地質年代)ですから、ハワイ島も100万年後には浸食が進み、マウイ島と同じような規模に縮小する可能性があります。他の島々もマウイ島と同じように、かつては大きな島だったものが、浸食が進んで今日の規模に縮小しました。

海を押し広げて拡張する新しい溶岩大地(ハワイ島プナ地区)


島の特徴

主要ハワイ諸島は8つの島で構成されます。北西端のニイハウ島は個人所有の島、マウイ島の南に位置するカホオラヴェ島は爆撃訓練に使われた不発弾の処理が現在も終わらず、関係者以外の上陸については、事前の審査があります。それ以外の島はポリネシアの島々から紀元600~900年前後に移住してきた先住のハワイ人が住み着きました。その後、オアフ島には州都が置かれ、100万都市が出現して周囲の景観を一変させましたが、山地にはまだ原生の自然が残ります。マウイ郡を構成するモロカイ島とラナイ島、マウイ島は、パイナップル畑やサトウキビ畑が作られた結果、山地を除いて原生の自然はあまり残されていません。ハワイ島はもっとも新しい上に、4000メートルを超す2つの巨峰と、コハラ山系、フアラライ山などがあり、さらに南東部のキラウエア周辺は広大な溶岩大地が広がっていて、この島がまだ進化の途上にあることを体感できます。

浸食によって渓谷が刻まれ、深い緑に包まれたカウアイ島コケエの森

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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