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所用時間5min
2015.07.19

アマウ(シダ)

飢餓のときの食糧となった大型の木性シダ


比較的高地に見られる木性シダで、全高 2~4m、葉身 0.5~3.0mほど。葉がV字状に開くのが特徴です。発芽した葉はゼンマイのように丸くくるまっていますが、少しずつ茎をまっすぐに伸ばしながら、折りたたまれている葉を左右に広げていきます。若いときは赤味を帯びた色をしているものもありますが、成長するにつれて緑色に変化します。比較的高地に見られる木性シダ(※葉柄部分が木のように見える)です。アマウは一般的なシダと異なり、陽の当たるところを好むため、生育条件によっては生長後に紅葉することもあります。


用途
葉はパラホロと呼ばれ、カパの素材に用いられたほか、茎の木化した部分からは赤い染料を採ってカパの染色に用いられました。木化した部分はデンプン質が含まれているため、野ブタが掘り起こして食べてしまうという問題を抱えています。伝統的なハワイ社会ではこのデンプンを食用としました。ただし毒素を取り除くのに手間がかかるため、飢饉のとき以外は利用しませんでした。
実生の(若い)アマウ はアマウマウと呼ばれ、生長したものとは区別されました。ちなみにキラウエア・カルデラ内にあるハレマウマウ・クレーターの名前は 「アマウマウの家(ハレ・アマウマウ)」に由来します。

生長したアマウ(シダ)


神話
アマウにはカマプアアという半神にまつわる神話があります。豚の化身であるカマプアアはよくもめ事を起こしました。彼は紛争が起きるとアマウを振り回してそこから逃れたと言います。この丈夫なシダは、カマプアアがすみかにする山に生育するとされます。彼は半神ペレが住むキラウエアのハレマウマウ・クレーターへ出かけ、火の女神ペレと結ばれました。しかし夫婦喧嘩をするとペレは怒り狂って溶岩を流すため、カマプアアは灼熱を避けようとアマウで作った団扇を振って風を起こし、これを免れたと言います。

葉の末端。最後のカールが伸びきる直前の状態

ハワイ名:‘Ama‘u
学名:Sadleria cyatheoides      シシガシラ科キアテオイデス属
英名:Rasp Fern
和名:ヘゴモドキ
原産地:ニイハウ島とカホオラヴェ島を除くハワイ諸島に自生する固有植物

新葉。産毛のように軟らかな繊毛に被われる

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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