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2015.07.23

モキハナ

強烈な香りを放つカウアイ島のシンボル花


モキハナの樹高は2~8m、樹皮は滑らかで淡い緑色をしています。内皮は赤味を帯びます。枝は柔らかく滑らかなせいで垂れ下がるため、つる植物のようにも見えます。葉は革に似た固い質感で、アニスの香り(柑橘系の香り)がします。


葉は、長さ10~20cm、幅5~10cm で、光沢のある緑色か褐色、あるいは赤味を帯びた褐色をしており、葉の基部に1~3個の花をつけます。半透明で淡緑色の花はとても小さく、0.2~0.3cmほどしかありません。実の形状は1辺1.2cm ほどの立方体に近く、黄緑色をしていますが、完熟すると紫色になります。実は葉よりも強いアニス臭があり、乾燥しても長期間芳香を発するのが特徴です。モキハナは、カウアイ島の標高360 ~ 1200m の湿り気の多い森に分布します。1923 年にカウアイの島花に指定されました。

直径2~3mmほどの小さな花

特徴

モキハナの実はきわめて香りが強く、その香りが長持ちする植物のひとつとして知られます。そのため、モキハナの実はカパの香りづけに用いられました。実、葉、花、樹皮のすべてに柑橘系の強い香りがあります。枝は柔らかく、垂れ下がります。材は、カパを打つ棒(イエ・クク)やカヌーの索具、トリムなどに用いられました。オアフ・アラニ(モキハナの近縁種)の葉と果実で編まれたレイは「ヒイアカのレイ」と呼ばれました。


伝統ハワイ社会から今日に至るまで、モキハナの実と葉はレイの素材となり、フラの儀式などで用いられます。ただし、樹液の刺激が強すぎるため、首にかけると皮膚は炎症を起こしやすくなります。実のなかにできる黒い種子は6ヶ月ほどで若葉を出します。

実。強い香りを長期間放つ

モキハナ(アラニ)の語源は、同名の褐色の海藻に由来します。そのため、海のアラニ(Alani kahakai)に対し、山のアラニ(Alani kuahiwi)と呼ばれることもあります。また、モキハナの名は、カウアイ産のカヴァ(コショウ科の植物)やカロ(タロイモ)の品種名にもなっています。

 

マイレの葉で編み込んだモキハナのレイ

ハワイ名:Mokihana, Mokehana, Alani
学名:Melicope (Pelea) anisata ミカン科クルシフォリア属
英名:なし
和名:なし
原産地:カウアイ島の固有種

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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