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モオ伝説1「モコリイ島ができたわけ」「モイリイリの地名の由来」
モオ伝説1「モコリイ島のできたわけ」「モイリイリの地名の由来」
ハワイ諸島中に残る、大とかげ、モオの伝説
- モオは伝説上の大とかげ。体長は10メートルにも及ぶ。
- モオを邪悪な恐竜のように描く伝説と、高貴な神とするものと、二通りの物語が知られる。
- 王族に崇拝されたモオも存在した。
モコリイ島ができたわけ
モオは体長10メートルにもなる大とかげ。ハワイ諸島中にモオ伝説が残り、モオを恐竜のごとく恐ろしい存在として描く物語から、モオを高貴な神のような対象として語る伝説まで、実に様々です。
邪悪なモオの物語としては、女神ヒイアカと各地のモオが戦う神話がいくつもあり、オアフ島でも以下のような物語が知られています。
ある日ヒイアカが、オアフ島東部のクアロアを通りかかった時のこと。歌を歌いながら海に近いトレイルを歩いていると、突如、大きなモオが出現! ヒイアカの行く手を塞ぎました。それはトレイルを通りかかる人を相手かまわず襲う邪悪なモオ、モコリイでした。残忍なモコリイは、当時クアロア一帯で恐れられていたのです。
モコリイは、ひるむことなくヒイアカに襲いかかると、叫びました。「八つ裂きにしてやる!」。恐れることなく、戦いを受けて立ったヒイアカ。たちまちモコリイを投げつけ、高く宙に舞ったモコリイは激しく地面に叩きつけられると、そのまま死んでしまいました。
邪悪なモオの尻尾がオアフ島クアロア沖のモコリイ島になった
そこでヒイアカはモコリイの尻尾を切り落とし、海に投げ捨てました。尻尾はクアロアビーチ沖で小さな島になり、今ではモコリイ島と呼ばれています(別名チャイナマンズハット)。
一方、モコリイの身体の残りはクアロアの山と海の間に平たく横たえられ、道になりました。モオに襲われる危険が去った後、旅人たちは安全に、その道の上を行き来するようになった…ということです。
モイリイリの地名の由来
女神ヒイアカがやはり旅の途中、ホノルルのある村を通りかかった時のこと。一帯の人々を苦しめていた獰猛なモオが、ヒイアカに襲いかかりました。
ヒイアカはひるむことなく、モオと対決。難なく倒すと、モオの身体を細かく切り刻みました。身体の細かな切れはしは小石と化し、ある木の根元に重ねられて小山になりました。その木は今も、モイリイリにあるプリンス・ジョナ・クヒオ小学校の校庭に残っているそうです。
もう1つ、そのモオの小石の山は、プリンス・ジョナ・クヒオ小学校近くの丘になった…とする説もあります。
ホノルルのモイリイリという地名はモオ伝説から生まれた
(写真はモイリイリ・コミュニティセンター)
ちなみにハワイ語で小石のことを、イリイリ(Iliili)といいます。モイリイリ(Moiliili)はモオ・イリイリの略。モイリイリという一帯の地名は、小石になったモオの伝説からつけられた地名なのだそうです
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森出 じゅんJun Moride担当講師
【インタビュー動画あり】
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex