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所用時間5min
2015.11.30

ハワイ古来のスポーツとゲーム

ハワイ古来のスポーツとゲーム

  • どの競技やゲームも、当時の生活様式に密着したものであったと云えるでしょう。

ネイティヴハワイアンの人達が楽しんでいたスポーツやゲームとは

大海の中に生きるハワイ。ハワイと云えば誰もが思い浮かべるサーフィン。ハワイ語で「ヘエナル」(heʻe nalu)と云う、ハワイで古くから行われていたスポーツの一つです。
 

王家の人々ばかりでなく、老若男女、誰もが海に出て楽しんだスポーツで、ワイキキもそんなスポットの一つでした。レアヒ(Lēʻahi =ダイアモンドヘッド)の中腹に在ったヘイアウ(祭祀場)から凧を揚げて波の具合を知らせ、沖から岸へ長く続く大波を乗りこなして楽しんでいました。波に囲まれることの至福を語る人も多く居て、海に入ること自体が、ハワイアンの生活の一部だったように思えます。

ワイキキのサーファー(年代不詳)(ビショップ博物館の展示物より)

スポーツやゲーム、遊びをハワイ語でパアニ (pāʻani) と云います。日常生活の中にあった遊びの一つに「あやとり」=ヘイ(hei) がありました。日本の遊びと思いきや、太平洋の島々にも、それぞれ独特のあやとりがあり、ハワイでは、物語に節を付けて歌いながら手先ばかりでなく、歯や足の指も使って様々な形を生み出していて、ビショップ博物館の研究報告では115の形が有ったと伝えられています。
 

コナネ(kōnane) と呼ばれる、チェッカーのように陣を取り合うゲームも在り、丸く小さな黒い石とサンゴの白い石を使って、男性も女性もゲームに興じていました。

コナネの石板(ビショップ博物館の展示物より)

一方、野外で繰り広げられる体力や持久力を競う激しい競技も多くありました。ビショップ博物館の庭に、サッカーボールのように丸く削り上げられた直系30センチほどの石が幾つか置かれていて、中腰でちょっと持ち上げてみようと試みましたが、ビクともしません。現在の砲丸投げのように使われた石で、ポハクハナイカイカ(pōhaku hana ikaika) と呼ばれる、重たい石をどこまで遠くに投げられるかを競ったものでした。

ポハク ハナ イカイカ(ビショップ博物館の展示物より)

筋力を競うものでは、モコモコ(mokomoko) と呼ばれるボクシングや、ホココ(hokōkō) =レスリング、ホココノホ(hokōkō noho) =座って上半身で戦うレスリング、ウマ(uma) =腕相撲など。バナナの茎などを的にして、木製の槍を投げて遠くの的に当てる競技、オオ イへ(ʻōʻō ihe) も盛んに行われていました。そして、かなりの高低差のある頂から滝つぼへの飛び込み、レレ カヴァ(lele kawa)も、さぞかし勇気のいるスポーツだったことでしょう。
 

ここで紹介したのはハワイ古来のスポーツのほんの一部にすぎませんが、このような競技に果敢に挑み、勝利する人は、同時に戦闘能力にも長けている人と云うことになります。

ハワイ古来のスポーツの色々(ビショップ博物館の展示物より)

海のスポーツに話を戻しますが、今でもアウトリガーカヌーのレースを見ることがあるでしょう。ハワイのカヌーには、進行方向左に浮=アマ(ama) が付いています。このカヌー=ヴァア(waʻa) で、外洋に漕ぎ出して速さを競う競技ですが、隣の島までの長距離レースもあります。ヘイヘイ ヴァア(heihei waʻa) と呼ばれるこの競技は、櫂を漕ぐ力だけでは成り立ちません。左右の櫂を漕ぐタイミングと力を合わせていかないと、船は真っ直ぐ進みません。ハワイアンの人達は、遠くまで早く漕ぐことばかりでなく、仲間のチームワークに必要な「責任感」=クレアナ(kuleana) の考え方を若者に教えるのにも、この数人で漕ぐカヌーを使いました。

 
 冬のマカヒキの時期。古来の教えから戦闘を慎んだこの4ヶ月ほどの時期に、特に盛んに行われたこれらのスポーツやゲームは、戦闘の訓練にもなっていて、皆で祭りを楽しみながら、強靭な体力や俊敏性、勇気、頭脳を養って、同時に戦いの能力を高めるものでもあったのです。

付帯的な情報・発展情報

ハワイ文化を後世に残そうと、冬のマカヒキの時期に、古来の競技を復活させて現代のハワイアンの人々に楽しく学んでもらう試みを行っている団体や地域もあります。

  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、21年間務めた。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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