海辺の鳥（海岸）

　海鳥のうち定住タイプ（渡りをしない）としてよく見られるものに、イヴァ（オオグンカンドリ）やアー（アカアシカツオドリ）のような大型種から、コアエ・ケア（シラオネッタイチョウ）やコアエ・ウラ（アカオネッタイチョウ）、ウアウカニ（オナガミズナギドリ）のような小型の鳥まで多くの種類がいます。生息環境が交錯しているこれらの海鳥は、餌を奪ったり、縄張りを主張するようなものも少なくありません。
 

イヴァ（和名：オオグンカンドリ、英名：Great Frigatebird、学名：Fregata minor）

成鳥は体長が１メートルあり、翼を広げると2メートルを超えます。ただし体重は1キログラムほどで、大きさの割りに身軽です。くちばしは長く、先端が鉤状になっています。尾羽がV字状になっている点が特徴です。雄の成鳥は喉元に赤い喉袋があり、求愛のときにこれを膨らませます。膨らむと赤いハートの形になります。雌は喉元から胸にかけて白いので見分けは容易です。
イヴァのもっとも大きな特徴は、海鳥であるにも関わらず、泳ぐことも海中に潜ることもできません。そもそも羽毛に防水性がないのです。そのため、海面に接近した魚をくちばしで獲りはしますが、ウミガメのタマゴや、他の鳥のヒナを補食するほか、空中で他の海鳥の餌を横取りします。体が大きな上に飛翔能力に優れているので、ターゲットとなった鳥はまず逃げ切れません。

イヴァ（オオグンカンドリ）

アー（和名：アカアシカツオドリ、英名：Red-footed Booby、学名：Sula sula）

ハワイ名の「アー」は、その鳴き声から名づけられたもので、ネネ（ハワイガン）などと同じです。体長は約75cmで、翼を広げると1.5メートル近くになります。雌雄で外観に違いはありません。和名や英名にあるように、赤い脚が特徴です。顔には羽毛がないため、目の上とクチバシの根元に赤い皮膚が見えます。また目の縁は青く隈取られています。

アー（アカアシカツオドリ）

コアエ・ケア（和名：シラオネッタイチョウ、英名：White-tailed Tropicbird、学名：Phaethon lepturus）

体長は約75cm（尾羽を含みます）。尾羽が長いのが特徴で、この部分が白いことと、クチバシが黄色いこと、主翼に黒い斑がある点がコアエ・ウラとの大きな違いです。風に乗ってかなり高空を旋回します。ハワイの海鳥のなかでは小柄なため、アカオネッタイチョウをはじめとする他の海鳥に獲物を横取りされることが多く、ときには巣まで追い回されます。そのため、コアエ・ケアは自分が辛うじて通過できる程度の小さな穴を巣にし、他の海鳥の侵入を防いでいます。また、海辺ではなく、海から離れた絶壁に巣を作ります。

コアエ・ケア（シラオネッタイチョウ）

コアエ・ウラ（和名：アカオネッタイチョウ、英名：Red-tailed Tropicbird、学名：Phaethon rubricauda）

体長はコアエ・ケアより１回り大きく、90cm前後あります。コアエ・ケアの尾羽が白いのに対し、コアエ・ウラは深紅の尾を持ちます。赤いクチバシも外見上の違いとして目立ちます。遠目に１本に見える赤い尾羽は２本で構成されています。

コアエ・ウラ（アカオネッタイチョウ）

ウアウカニ（和名：オナガミズナギドリ、英名：Wedge-tailed shearwater、学名：Puffinus pacificus）

ハワイの海鳥のなかではもっとも小型の鳥のひとつで、体長は40cm前後です。翼を広げると１メートルほどありますが、体重は300グラムほどしかありません。泳ぎがうまく、水面に浮かびながら魚を獲ったり、潜水して水中の獲物を獲ったりします。モーリーに似てあまり人を怖れず、道のすぐそばに横穴を掘って巣を作ります。

ウアウカニ（オナガミズナギドリ）

※トップの写真はアー（アカアシカツオドリ）のコロニーです。