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ニイハウ シェル レイ
ニイハウ シェル レイ
- ニイハウ島の海岸で取れる小さな巻貝で作られたレイは、大変貴重で高価なものとして尊ばれています
ニイハウ島を象徴する色は白
ハワイ八島はそれぞれ、特有の色で象徴されています。そのほとんどが鮮やかな花や植物の色で表現されている中で、最西端の島ニイハウ(Niʻihau)だけは、この島を代表する「ライキ」(お米)とも呼ばれる艶のある1cmにも満たない小さな巻貝「ププ ケオケオ」(Pūpū keʻo keʻo)の色、白が使われています。
ニイハウ シェル レイ(ビショップ博物館の特別展示より)
2014年にビショップ博物館で、ニイハウ シェル レイの特別展示が行われ、そこに珍しい写真が展示されていました。1887年、カピオラニ王妃が義理の妹のリリウオカラニ王女を伴いビクトリア女王の在位五十周年を祝うゴールデンジュビリーに出席するため英国を訪問する際に、経由地のニューヨークで撮った写真です。何連にも重ねられたニイハウ シェル レイを着けていますので、高貴な方々も身に着けた貴重な装飾品であることが解ります。
1887年にニューヨークで撮影されたカピオラニ王妃の写真(ビショップ博物館の特別展示より)
これはブルックリンでの下船風景ですが、ここでもシェル レイを着けています。
カピオラニ王妃のブルックリン下船風景(ビショップ博物館の特別展示より)
カメハメハ四世のお后、エマ王妃がニイハウ シェル レイを着けた写真も展示されていました。希少な貝で作られたレイを、王族の女性も好んで着けていたことが解ります。
エマ王妃(ビショップ博物館の特別展示より)
ニイハウ シェル レイには、ニイハウ島を象徴する白い巻貝ばかりでなく、豊かな色合いの貝も使われています。茶色の模様のある「モミ」(真珠)と呼ばれる貝や、ニイハウ島の王の名を冠した、赤い色をした「カへレラニ」などの種類が知られています。
さて、ニイハウ島以外で取れた貝を使った模造品は販売されてないのか、高価な品であるが故に気になるところです。2004年にハワイ州議会は、ニイハウ島の海岸で採取された貝以外を使った製品はニイハウの名を付けて州内で販売してはいけないとの法案を可決しています。
個人所有の島で、島民も極めて少ないニイハウの海岸は人が踏み込むことも少なく、無数の小さな貝殻が打ち上げられていますが、良く目を凝らしてみると、その多くは二枚貝の殻。巻貝も欠けているものが多く、レイを作るための高価な貝を探すのは、さぞや根気のいる事だろうと感じます。
付帯的な情報・発展情報
各島を象徴する色の植物の中で、実際に見るのが難しいのはカホオラヴェ島(Kahoʻolawe) の海岸に生える銀灰色の「ヒナヒナ」でしょう。マウイ島の火山ハレアカラの山頂で見ることが出来る銀剣草に酷似した色です。
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浅沼 正和Masakazu Asanuma担当講師
【インタビュー動画あり】
ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、21年間務めた。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。