講座詳細
ハワイアン・ミュージック・ガイド 1991-2000
ハワイアン・ミュージック・アルバムガイド 1990s
アルバム・タイトル / アーティスト名(リリース年)
Self Portrait / Teresa Bright (1990)
1991年のナ・ホク・ハノハノで女性ボーカリスト賞を受賞したテレサ・ブライト初ソロ・アルバム。同年のアルバム賞に輝いたこの作品からフラソングの名曲『Poliʻahu』がソング・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、作者のカワイカプオカラニ・ヒューエットがハクメレ(ハワイアン・ソングライター)賞を受賞した。テレサの洒落たジャズ・テイストのハワイアン・ミュージックは90年代の日本でも多くのファンに受け入れられた。
Tropical Hawaiian Day / Kaʻau Crater Boys(1991)
90年代を代表するデュオ、カアウ・クレーター・ボーイズのトロイ・フェルナンデス(ウクレレ&ボーカル)とアーニー・クルーズ・ジュニア(ギター&ボーカル)のデビュー作。サーファー・ロコボーイのライフスタイルを音楽で表現して絶大な人気を得た彼らの音楽スタイルはここから始まった。トロイの速弾きウクレレソロが90年代ウクレレ・ブームの火付け役になった。続いてリリースされた『Valley Style』『On Fire』がそれぞれ94年95年にナ・ホク・ハノハノ、コンテンポラリー・アルバム賞を受賞。
アーニーは海の事故で2016年他界。
Vanishing Treasure / Hawaiian Style Band(1992)
無名の実力派ミュージシャンたちが組んだユニットに、ハワイの有名アーティストたちがゲスト参加して92年にリリースされたアルバム。クオリティーの高いポップスに仕上げられた伝統ハワイアンとオリジナル・ソングの数々が大ヒットし爆発的な人気を得た。93年のナ・ホク・ハノハノで『コンテンポラリー・アルバム賞』受賞。その後ボーカルの一人ロビ・カハカラウはバンドを脱退しソロとしても成功を収めた。
名曲『Love and Honesty』収録。
Hapa / Hapa (1993)
93年にリリースされ空前の大ヒット、アルバムに収められた『Lei Pīkake』『Ka Uluwehi O Ke Kai』などの曲を、ハワイ中のフラダンサーがこぞってレパートリーにして踊るようになった。
米東海岸からマウイに移り住み、ハワイアン・ミュージック修行をしたバリー・フラナガンがロコボーイのシンガー、ケリイ・カネアリイと出会いスタートしたユニットHAPA。デビュー作であるこのアルバムは、94年のナ・ホク・ハノハノでアルバム賞など6部門受賞。今聴いてもまったく古さを感じさせないばかりでなく、改めて音楽性の高さに感動してしまう。ボーカルのメンバーチェンジを繰り返しながら現在まで優れたアルバムをいくつも世に出してきたが、これこそハワイ音楽の歴史に残る名盤!
Facing Future / Israel Kamakawiwoʻole (1993)
言わずと知れた伝説のハワイアン・シンガー、通称イズの代表作。マカハ・サンズ・オブ・ニイハウのメンバーとしてデビュー以来、カリスマ的な存在感と素晴らしい歌声でファンを魅了してきたイズラエル・カマカヴィヴォオレのバンド脱退後リリースしたソロ2作目。ソロ・シンガーとしてのイズの音楽性が見事に現出したすばらしい内容のこのアルバム一枚で、ハワイでのイズの人気は不動のものとなった。発売後ローカル・ヒットとなった後も米本土や海外でもじわじわと売り上げを伸ばすロングセラーとなり、9年後の2002年にゴールド・レコード認定を受けるまでにいたったが、彼自身はすでに97年に他界。
ウクレレ一本の弾き語り名演『Somewhere Over the Rainbow - What a Wonderful World』収録。
Kawaipunahele / Kealiʻi Reichel (1994)
ハワイアン・ミュージックの黄金時代と言える90年代は、この人の登場で決定的なものになった。ハワイ語を話しフラを踊る本物の“ハワイアン”アーティスト、ケアリイ・レイシェルのデビュー作。
記録的なセールスで一夜にしてスターになった後も、マウイ島をベースにハワイ文化を継承するクムフラとして現在まで堅実に活動を続けている。
ハワイの風のような優しい歌声に誰もが魅了されるこのアルバムは、94年のナ・ホク・ハノハノでアルバム賞他5部門受賞。名曲『Kawaipunahele』『Kauanoeanuhea』収録。
Flying with Angels / Na Leo (1995)
90年代のハワイ音楽シーンでもっともポピュラーな女性グループといえばナレオだった。レフア、ナラニ、アンジェラの3人が紡ぐコーラスに癒されるこのアルバムは、96年のナ・ホク・ハノハノでアルバム賞他4部門受賞。アルバム・タイトル曲でもある『Flying with Angels』がハワイで大ヒットした。アイランド・ポップスの真骨頂的アルバム。
Hawaiʻian Tradition / Amy Hanaialiʻi (1997)
エイミー・ハナイアリイとウィリーKのデュオ名義でのデビュー・アルバム。97年のリリース後、すぐにヒット。エイミーのパワフルなファルセット・ボーカルとすばらしい歌唱力、そしてウィリーKの卓越した演奏&アレンジ力で届けられた極上のハワイアン・ミュージックにハワイ中が酔いしれた。
98年のナ・ホク・ハノハノ3部門受賞。名演『Haleʻiwa Hula』『I Aliʻi Nō ʻOe』収録。
セカンド・アルバム『Hanaialiʻi』も99年に4部門受賞した名盤。こちらにはオリジナルの名曲『Pālehua』収録。
Pure Heart / Pure Heart (1998)
世界的ウクレレ・アーティストとして活躍するジェイク・シマブクロが在籍したグループ、ピュア・ハートのデビュー・アルバム。ボーカルのジョン・ヤマサト、パーカッションのロパカ・コロン、そしてウクレレのジェイクが織りなすポップで若さあふれるアイランド・ミュージックがハワイ音楽シーンに新風を吹き込んだ。
99年のナ・ホク・ハノハノ4部門受賞。
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よしみ Nui だいすけDaisuke Yoshimi担当講師
【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
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