ハワイを代表するウクレレ・アーティスト１

「誰でも簡単に弾けるハワイの楽器」というイメージのウクレレ、手軽なだけでなくじつに奥の深い楽器です。そんなウクレレをこよなく愛し、演奏することでその奥深い魅力を世に広めた特筆すべきアーティストたちがハワイにはたくさんいます。
 

ここでは、ハワイの音楽史上歴史に名を残す素晴らしいウクレレ・アーティストを8人選んでご紹介します。
これからウクレレ・ミュージックの世界を探求しようというかたは、まずこのアーティストたちのウクレレを聴くことをおすすめします。
ハワイのウクレレ・マスター8人とは・・・

エディー・カマエ
ハーブ・オータ
ピーター・ムーン
ロイ・サクマ
イズラエル・カマカヴィヴォオレ
トロイ・フェルナンデス
ハーブ・オータ・ジュニア
ジェイク・シマブクロ

まずは2017年1月に他界したレジェンド、エディー・カマエさんをご紹介しましょう。

エディー・カマエ Eddie Kamae

『Hawaiian Music & Musician, An Encyclopedic History』(Kanahele & Berger, Mutual Publishing)によれば、ウクレレがソロ楽器として人気を集めるきっかけとなったのはウクレレ・ラスカルズの登場（1948年）でした。このウクレレ・デュオのメンバーだったのがエディー・カマエとショイ・イケミ。
以後長年ハワイの音楽業界で活動を続けたエディー・カマエさんはどんなアーティストだったのか。
あのスラック・キー・ギターのレジェンド、ギャビー・パヒヌイとともにサンズ・オブ・ハワイというバンドを組み、60年代から70年代にハワイ音楽シーンをリードし、その後のハワイアン・ミュージックに大きな影響を及ぼした人として知られます。エディーさんがハワイ音楽史上に残したもののひとつが、ラテン・ミュージックやジャズの影響色濃いピッキング奏法で演奏するウクレレ・スタイル。1950年代以前にウクレレをソロ楽器の地位に引き上げたのが彼でした。後に世界的に有名になるオータサンにも大きな影響を与えています。
彼のもうひとつのハワイ音楽史への貢献は、サンズ・オブ・ハワイというバンド活動を通して、古き良き“オーセンティック”・ハワイアン・ミュージックを蘇らせたこと。ハワイ語の歌詞でハワイアン・スタイルで歌われる、ネイティブなハワイアン・フォーク・ミュージックというものが、サンズ・オブ・ハワイによって生き返ったのです。
忘れられたハワイアン・ソングを掘り起こして生き返らせる、ということにこだわった彼がサンス・オブ・ハワイとともにレパートリーとして取り上げた歌の数々が、その後若きミュージシャンたちに歌い継がれ、今ではハワイアンの定番として、そしてフラのスタンダード・レパートリーとして多くの人に愛されています。

エディーさんは80年代にミュージック・シーンの一線から退き、90年代から2000年代はドキュメンタリー・フィルム監督業に移行しました。そこでも彼の視線は変わることなくハワイのネイティブ・カルチャーに向けられていました。ハワイ文化に関係するドキュメンタリー作品を幾つか製作した後。ミュージシャンとしての活動を再開。08年、09年と続けて新生サンズ・オブ・ハワイでレコーディングしたアルバムをリリースし、ミュージック・シーンにカムバックしました。2010年にはホノルルで行われた『ウクレレ・ピクニック・イン・ハワイ』の前夜祭的コンサート、ウクレレ・レジェンド・コンサートに、オータサン、ビル・タピアとともに出演しました。

エディーさんが10代のころ最初に自分で買ったウクレレはマーティン・ウクレレ（15ドル）。後にプロ・ミュージシャンとして愛用したトレードマークのウクレレは友人がカスタムで作ってくれたというダブルホール・ウクレレ。