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オヘ
オヘ
オヘ(タケ)はポリネシア各島からハワイに持ち込まれた有用植物で、あらゆる植物のなかでもっとも成長が速いことで知られます。発芽後、わずか2ヶ月で15mほどの高さになります。ハワイにおいてはきわめて有用な植物で、水の容器や楽器、建材など、多くの用途に用いられました。ハワイの伝統社会には2種類のタケがあります。「シゾスタチウム」は成長が早いことが特徴で、「バンブーサ」は節と節の間隔が長く、節(ふし)が薄くて柔らかいという性質があるため、加工しやすい点が特徴です。
フシとフシの間隔が長い稈(筒の部分)
バンブーサ種のオヘからは、ハワイの伝統楽器であるオヘ・ハノ・イフ(鼻笛)やプ・イリ(スティック)、プ・オへ(ホラ貝のような効果のある竪笛)、オヘ・カーエケエケ(細い方で太い方を叩いたり、地面に敷いたカパに落として音を出すなど、打楽器として使用する)などが作られました。また、適度な長さに切り落として水筒や茶碗として利用しました。
大型のオヘは、遠来の客を迎えるときの儀式に使用しました。女性は髪の毛を束ねたり、形を整えるために、オヘを細く削ったものを使用しました。また、オヘ・カパラ(カパをデザインする際の模様付け)にも用いられます。
オヘ・ハノ・イフ(鼻笛)
薬用としては、オヘの灰にアフアヴァやラマの粉末と混ぜ合わせたものを炎症止めや痛み止めとして用いました。オヘの筒部分を焼いたものは黒の染料として用いられました。
神話の世界では四大神の一人であるカーネのキノ・ラウ(変身)とも言われます。半神マウイが指を切ったとき、母である女神ヒナはオヘを調合した薬で傷を手当てしたという話や、マウイ島のハレアカラ山麓にあるワイカモイ地区には、ポリネシア人の女神であるヒナがタヒチから竹林を移植したという話が残されています。
オヘ・カパラ
ハワイ名:‘Ohe
学名:Bambusa vulgaris, Schizostachyum glaucifolium イネ科ホウライチク属 / ヒイランチク属
英名:Golden Bamboo
和名:タケ(ダイサンチクの近縁)
原産地:インド~ジャワ 伝統植物(外来種)。多年草、15~30m。
特徴:多年草、稈(茎)の高さは6~15m、稈(かん、タケの茎部分)の径は5~10cmです。シゾスタチユムは、発芽後2ヶ月で15mほどの高さになります。オヘは、稈が黄金色になるのが特徴です。
オヘの葉
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近藤 純夫Sumio Kondo担当講師
エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
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