ハワイの歌には、特定の人や神をたたえる歌が少なくありません。とくに古典スタイルで歌われるチャントには、神・王族の名が出てくるものが数多くあります。
チャントと比べると数は少なくなりますが、モダン・スタイルのハワイアン・ソングにも女神や王族の名前は印象的に登場します。
このページでは歌の中の「名前」にフォーカスしてみましょう。

歌の中の言葉をまとめたハワイ語辞書「たくさんのメレから集めた言葉たち」全３巻用にランダムに集めたハワイアン・ソング３００曲のデータから、「名前」のハワイ語を抽出してみましょう。

カラカウア Kalākaua
ご存知19世紀のハワイ王国７代国王の名前です。
『Aloha Nō Kalākaua』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「愛される国王、ハワイ国民の誇り、愛すべきカラカウア王」
19世紀に一時期禁止されたフラをハワイアンのために復活させた、フラダンサーにとっての救世主カラカウア王をたたえています。

カーヴィカ Kāwika
David をハワイ語にすると Kāwikaになります。
ハワイの歌の中で「カーヴィカ」はカラカウア王のことです。カラカウア王のファースト・ネームがDavidなのです。
『Kāwika』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「ここに現るデヴィッド、人々の頂点に立つ者」

リリウ Liliʻu
後にリリウオカラニ（「聖なるリリウ」の意）と呼ばれるようになった19世紀のハワイ王国最後の国王、リリウオカラニ女王のファーストネーム。
歌の中でリリウ、リリウラニ、リリウオカラニなどと表現される。
『Liliʻu Ē 』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「リリウよ、座る姿の美しきこと 」

ピイラニ Piʻilani
16世紀にマウイ島を統治した王の名前。
人民に愛された王だったことから、マウイ島の代名詞として王の名前が使われます。
『Ka Naʻi Aupuni』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「緑濃いハワイ島よ、ピイラニ王の入江（マウイ島）よ」

マノカラニポー Manokalanipō
15世紀にカウアイ島を統治していた王の名前。
3通りの言い方が散見されます。
マノカラニポー(Mano-ka-lani-pō)
マノオカラニポー(Mano-o-ka-lani-pō)
カマノオカラニポー(Ka-mano-o-ka-lani-pō)
『Kauaʻi Beauty』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「名声高きカウアイ、マノカラニポー（の島）」

カクヒヘワ Kākuhihewa［カークヒヘヴァ］
15世紀にオアフ島を統治していた王の名前。
オアフ島をたたえる代名詞として多くの歌の詞に登場します。
『Lei Kula Nā Aliʻi』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「本物の美しさ、イリマのレイ、カクヒヘワをたたえる花」

パウアヒ Pauahi
カメハメハ一世の曾孫バーニス・パウアヒ・パキ・ビショップ王女の通称。
相続した遺産を「ハワイの子供たちの教育に」という彼女の遺書に従い、カメハメハ・スクールとビショップ博物館が建設された。
『Kāhiko Kapālama』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「あなたへの感謝、王女さま、誉れ高きパウアヒさま」

ヒナ Hina
ハワイ神話の女神の名前。
月に住むようになった女神として広く知られる。半神マウイの母親、珊瑚生態系の母、カパ作り伝統の母としても伝えられる。
モロカイ島の歌によく現れるフレーズ「モロカイ・ヌイ・ア・ヒナ」は、ヒナから生まれた島モロカイをたたえる呼び名。

ホポエ Hōpoe［ホーポエ］
ペレ＆ヒイアカ神話に登場するレフアの森のフラダンサーでヒイアカの親友の名前。
ヒイアカへの嫉妬に狂ったペレの溶岩に襲われ岩にさせられた、と伝えられる。
『Hōpoe』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「泣きながらハエナの海へ走るホポエ、もう生きる道はない」

ポリアフ Poliʻahu
マウナケア山の女神４姉妹の長女の名前。
ポリアフはハワイ州最高峰のマウナケア山頂に祀られる雪の女神。心を捧げたカウアイ島のプリンスに裏切られる傷心の彼女が神話に伝えられる。
『Poliʻahu』というハワイアン・ソングにはこう歌われています。
「ポリアフの涙、愛する胸の痛み、離ればなれの悲しみ」