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所用時間5min
2017.11.17

溶岩の生成物(ペレの髪の毛など)


ハワイ諸島はすべて地球内部のマグマが噴出して造り上げた火山島です。噴き出したマグマは溶岩となり島を生長させます。現在は、ハワイ島で流れる溶岩と、冷え固まった溶岩を観察できます。

ハワイ島の火山国立公園を訪れると、壮大な規模の溶岩平原を目にできます。その景観は黒一色のように見えますが、注意深く観察すると、さまざまな形や色合いの溶岩があることに気づきます。そのなかから代表的な溶岩のを紹介します。

 

A)軽石(パミス)

噴出した溶岩が急速に冷やされるとき、内部のガスが放出されて多孔質(海綿状)となった岩石です。文字通り軽くて脆く、水に浮く場合があります。

B)ペレの涙

長径3~10mmほどの火山噴出物のひとつです。噴出した際に尾を引き、涙型となるのが名前(通称)の由来です。

C)ペレの髪の毛

溶岩が風に飛ばされて糸のように細長く伸び、髪の毛のような形状となったものです。長いものは1m近くにもなります。溶岩大地の風の吹きだまりに集まります。

D)レティキュライト

溶岩の気泡が連結した、スポンジに似た形状の結晶です。指の力で簡単に崩れるほど脆く、軽いです。

E)スコリア

溶岩の燃えかすです。多量に空気を取り込み、酸化して赤味を帯びたものが多く見られます。見た目よりも軽く脆いのが特徴です。

 

 

F)カンラン石

マグマが地上に噴出して結晶化(晶出)するとできるのがカンラン石です。そのなかの一部は、最初は無色透明(または白色)ですが、マグネシウム成分のうちの10%前後が鉄に置き換わると黄緑からオリーブ色に変化します。

G)グリーンサンド

ハワイ島南部にはカンラン石が堆積しているグリーンサンドビーチがあります。橄欖石の結晶は緑色よりオリーブ色に近いのですが、光の反射の加減で、写真のように緑色に見えます。

H)火山弾

火山弾とは、直径が65mm以上の溶岩(テフラ)の塊を指します。噴火によって溶岩が上空に噴き出したあと、堆積して誕生する丘を噴石丘と呼びます。この噴石丘の堆積物のなかにある破砕物を火山弾と呼びます。噴火の際、ときとして巨大な溶岩を噴き上げることがあり、なかには直径が2mを超すものもあります。

I)石膏(ジプサム)

硫酸カルシウムを主成分とする鉱物で、バサニ石、石膏、硬石膏の総称です。火山洞窟の天井に垂れ下がる溶岩鍾乳や壁面に付着することがあり、ジプサムとも呼ばれます。地下空間に残るものは岩肌に貼りついたものと、床面に堆積する粉末状とがあります。不純物がなければいずれも純白をしています。固形のものはきわめて脆く、指で潰すと粉末になります。

J)酸化物が付着した石膏

酸化した鉄分が石膏に付着し、赤く染まることがあります。洞窟などで見られます。

 

 

K)硫黄の結晶

硫黄(サルファー)ガスの噴出口などに付着し、成長してレモンイエローをした岩石のような結晶になります。石膏ほどではありませんが、比較的軟らかいです。

L)ガラス成分

溶岩中のガラス成分が溶岩の表面で結晶化したものです。

M)火山噴出物1

ペレの涙を大型にしたもの。ガラス成分が固まった溶岩です。一般的な玄武岩溶岩よりも硬く、叩くと金属的な音がします。

N)火山噴出物2

ペレの涙を大型にしたもので、表面にさまざまな岩石や鉱物が結晶化して付着したものです。

O)リム・オ・ペレ

海水に触れて泡立った溶岩が膜のような状態になったまま冷え固まったものです。リムとはハワイ語で海草を指します。

 

 

 

※トップ画像は、ペレの髪の毛です。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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