観光地として世界的に有名なハワイは、その素晴らしい自然と共に、人々が培ってきた歴史や文化も多くの人々を惹きつける大切な要素となっています。古代ハワイアンが残した神々を祀るヘイアウ、ハワイ王国時代から近代に建てられた王宮をはじめとする官公庁、100年経った現在も使われている住居、その他、歴史ある場所や建物がハワイ中に存在し、大切に保存されています。

こういった場所や建物は、どのような経緯で残され、現代の人々に歴史・文化を伝えているのか、その背景を見てみましょう。
 

国による歴史的建造物・歴史的地域の保存のはじまり

アメリカ合衆国内にある数々の歴史的な建物や地域を国が主導して守ろうとする動きは、1906年に文化財や自然資源を守る目的で制定された「遺跡保存法(Antiquities Act)」、同様に1935年に制定された「史跡法」(Historic Sites Act)から既に始まっていました。「遺跡保存法」は、大統領に、アメリカ合衆国内にある歴史的な場所や自然資源のある場所を保護地域と制定する権限を与える法律で、この法律を使い、オバマ前大統領が歴代の大統領の中で最も多い、26か所を保護地域に制定しています。

第二次大戦後の人口増加に伴い、市街地の拡大、さらには新たに市町村を作っていく必要がある中で、歴史ある建物が安易に壊されたり、建て替えられたりといったことがないよう、より組織的に、より強固に歴史的建造物および地域を守る為に、1965年、当時のリンドン・B・ジョンソン大統領主導で歴史的文化財の保存に関する特別委員会が設置されました。それまでに歴史的建造物に対する調査が行われており、当時アメリカ国内で既に12,000がリストに挙がっていましたが、翌1966年までにはその半数が、壊されるか、修復不可能な状態となっていました。

「国家歴史保護法（National Historic Preservation Act）」の成立

遂に1966年も終わりに差し掛かる頃、「国家歴史保護法（National Historic Preservation Act）」が成立し、アメリカ合衆国内務省－国立公園局により、アメリカ合衆国内の歴史的建造物等の管理が、組織的に行われるようになりました。州ごとに担当の部署を設け、国の基準に即した方法でアメリカ国内の歴史的な建物、地域、物などがリストアップされており、アメリカ国内で現在、38,000か所を超える建造物等の情報が管理されています。

ハワイ州においても、ハワイ州歴史保護課（State Historic Preservation Division）が設置されており、その担当者が調査および評価、そしてリストの作成をしています。2018年6月8日現在、ハワイ州内の歴史的建造物等において、州のリストに載るものは1,026か所、国のリストに載るものは359か所、計1,385か所が保存対象となっています。
 

ハワイ州における国家歴史登録材の数々

最新のリストによると、ハワイ州における国家歴史登録材(National Register of Historic Places)359か所の内、オアフ島には153か所。その内、ホノルルに103か所となっています。詳しいリストの内容、および最新の情報については、ハワイ州歴史保護課が公表しているリストをご参照ください。
ハワイ州歴史保護課が公表するリスト（2018年8月更新）

イオラニ宮殿、ビショップ博物館、アロハタワーといった観光客の方々にも人気の観光スポットはもちろん、カワイアハオ教会、セント・アンドリュー教会、パンチボウルといった教会や墓地、タンタラスの丘へと続く道、さらには、ホノルル中華街全体が保護地区とされているなど、リストにはおなじみの名前が数々登場します。

イオラニ宮殿

ハワイ州最高裁判所（アリイオラニ・ハレ）

ハワイでは、街を気軽に散策するだけでも、数々の歴史的建造物に出会うことができます。例えば、ホノルルダウンタウンにあるマーチャントSt.近辺にはそういった建物が立ち並び、まるでタイムトリップでもしたような風景に出会います。その場所を実際に目にした時の感動は大きく、ハワイの歴史に対する理解も深める為にも、これら歴史登録材について事前に知識を得ておくことをおすすめします。

マーチャントSt.

マウナケアSt.