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ハワイの歌7 『カメハメハ五世の歌』
カメハメハ五世の歌
カメハメハ五世となったのは四世アレキサンダー・リホリホの兄、ロット・カプアイワ・カラニマクア・アリイオラニ・カラニクプアパイカラニヌイ。カメハメハ二世三世はカメハメハ大王の息子兄弟、そして四世五世は孫兄弟ということになります。ただし四世が弟で五世が兄という変則的な順番。二世には子がなかったから、弟が三世として王位を継ぎ、その三世も子宝に恵まれませんでした。そこで三世は、二人の息子を授かっていた腹違いの妹(1世の別妻の娘)から次男をもらい養子に迎えました。それが四世になったアレクサンダー・リホリホ。四世は妻のエマ王妃との間に男子を授かったので、息子が五世になるのが必然の流れですが、その息子は幼くして他界してしまいます。結局王位を継承する息子なきまま四世は没することになり、彼の実の兄ロットが五世を継ぐことになったのです。結果的にこの五世が、カメハメハ直系の血筋最後の国王となってしまいました。
五世がハワイ王国を治めたのは、1863年から1872年の9年間。日本は幕末明治維新の時代、そしてハワイはハンセン病が社会問題になり、モロカイ島カラウパパの隔離政策、ハワイ人人口激減、盛んになったサトウキビ産業の労働力不足を補う移民受け入れが始まった時代でした。
カメハメハ五世とハワイの歌・音楽とのつながりで特筆すべき点として、ハワイ音楽史上もっとも偉大な楽隊、ロイヤル・ハワイアン・バンドが彼によって作られたことが挙げられます。また、フラを復活させた王様として知られる第7代国王カラカウアよりも前に、数十年に渡って公共で踊ることが禁じられていたフラを自身が主催するルアウで奨励して、後のフラ復活実現に貢献していたことが伝えられます。
オアフ島の歴史あるフラ・フェスティバルが「プリンス・ロット・フラ・フェスティバル」という名前なのも、開催地がかつての五世の別荘地モアナルア・ガーデンだったのも、そういう理由からなのです。
(現在のフェスティバル開催地はイオラニ宮殿)
そんな五世をたたえるメレに『アリイオラニ Aliʻiolani』があります。タイトルは五世の名前の一部で「聖なるアリイ(首長)」という意味。
Noe wale mai no ka nahele
Kīpū ka ʻohu i ka mauna
I walea ʻo Aliʻiōlani
I ke kui pua lei ʻōhelo
Me ʻole wahine i ka nahele
ʻO ke hoa like ʻole nō ia
E kohu ʻole ai nā lani.
森は霧に包まれる
山を囲む霧に
アリイオラニは楽しんでいる
オヘロのレイ作り
女なしで森の中
比類なき友
王族のなかの王族
生涯未婚の五世は、カメハメハ1世の血を引く親戚プリンセス・パウアヒに王位継承を希望したが断られ、次の王位継承者なきまま1872年の誕生日12月11日没。
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よしみ Nui だいすけDaisuke Yoshimi担当講師
【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
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