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ハワイの歌8 『ルナリロ王の歌』
ルナリロ王の歌
ハワイの歌「メレ」には「メレ・イノア」というカテゴリーがある。特定の人物に捧げる歌のことをいう。メレ・イノアの中でも特別な、ハワイ王国の王族たちに捧げられたメレを紹介する。
ルナリロ王をたたえる歌 ʻAuhea ʻo ka lani la?
カメハメハ五世(ロット)没後、第六代ハワイ国王になったのはウィリアム・チャールズ・ルナリロでした。ルナリロはハワイ王国初の選挙で選ばれた王でした。彼の母はカメハメハ一世の姪、カメハメハ二世三世のいとこにあたる王族の一人で、カメハメハ一世没後カアフマヌが就いた「クヒナ・ヌイ(摂政)」の役職を引き継ぎカアフマヌ三世になった女性。カメハメハ王家の親戚筋にあたるルナリロが、国王選挙で戦った相手は、後に七代国王になるカラカウアでした。結果はルナリロの圧勝。人民に選ばれた国王として愛された彼ですが、アルコール依存などの理由で健康を害し、王位に就いてからわずか一年で病死してしまいました。
ハワイアン・ミュージックの世界でルナリロ王といえば『アレコキ ʻAlekoki』という歌が引き合いに出されます。ルナリロ自身が書いた歌(チャント)で、後にメロディーがつけられ現代までフラソングとして親しまれてきました。『アレコキ』については後に「王族が書いた歌」シリーズで改めて書くことにして、「王様をたたえる歌」シリーズのここでは、ルナリロをたたえる歌『アウヘア・オ・カラニ・ラ
ʻAuhea ʻo ka lani la?』を紹介しましょう。
ʻAuhea ʻo ka lani la?
Aia i ka heʻe nalu
Heʻe ana i ka lala la,
Hoʻi ana i ka muku
A ka nalu o Hōʻeu la
E uhoʻi aʻe kāua
A pae aʻe a i Kaimū la
Hoʻomū nā kanaka
ʻAuʻau i ka wai la,
Aʻo Waiʻākōlea,
Luʻu aku a ea maila,
Kānaenae o ka lani.
Haʻina mai ka puana la
Nō Lunalilo nō he inoa.
(参考文献 Nā mele o Hawaiʻi nei: 101 Hawaiian songs)
王はどこに?
あそこで波乗り
波のスロープを滑り
引き波でゲッティング・アウト
スープ波で
二人は戻る
カイムの海岸
ローカルが集まる場所
水浴するのは
ワイアコレアの池
飛び込んで浮かび上がる
王への祈りのチャント
この歌でたたえる
ルナリロ王の名を
(訳:よしみだいすけ)
この歌には地名が二つ出てきます。ひとつは「カイム Kaimū」、もうひとつは「ワイアコレア Waiʻākōlea」。ハワイ島プナ、カラパナを舞台にしていることがわかります。ただしルナリロ王はオアフ島ホノルル出身。ハワイ島プナを訪れた際に、当地のサーフスポットで波乗りを楽しんだのでしょうか。ほかの王族同様、彼もサーファーだったことがこの歌で伝えられています。
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よしみ Nui だいすけDaisuke Yoshimi担当講師
【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
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公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/