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ハワイ州の祝日
ハワイ州の祝日
Hawaii State holidays
王国の歴史を今に残すハワイ州の祝日
アメリカ合衆国には国全体の祝日の他に、それぞれの州が定めた祝日があります。ここでは米国50番目の州、ハワイ固有の祝日を紹介します。
1. クヒオ デイ Prince Jonah Kūhiō Kalanianaʻole Day 毎年3月26日
クヒオ王子の誕生日(1871年(明治4年)3月26日)を記念する祝日で、ハワイ王国最後の王子として、又そのハワイへの貢献を称え、1949年(昭和24年)に準州議会により制定されています。
クヒオは、カウアイ島コロアの生まれ。ハワイ王国第7番目の王カラカウアのお后、カピオラニと血縁関係にあり、王妃の養子(ハナイ hānai )として育ちました。ホノルルのロイヤルスクールとプナホウ校で教育を受け、1893年にハワイ王国が終りを告げた時は21歳。
その後ハワイが共和国として存続していた1895年、王国を復活しようと蜂起が起こりますが、クヒオもその動きに加わり、1年近く収監されています。
ハワイが米合衆国のテリトリー(準州)になると、1902年(明治35年)からハワイ準州の合衆国下院議員(共和党)に選出され、1922年に亡くなるまでワシントンD.C.でハワイのために尽くしました。
クヒオは、観光が将来ハワイの主要産業の1つになると考えていたようで、1907年には連邦の上下両院議員20数名とその家族のオアフ、カウアイ、マウイ、ハワイ、4島訪問を実現させ、ハワイの観光地としての魅力を、国を司る人達に直に経験させる機会を設けています。
毎年ハワイでは、クヒオデイに近づくとクヒオを称えるパレードが行われます。
ワイキキに建つクヒオ王子像
2. カメハメハ デイ King Kamehameha I Day 毎年6月11日
ハワイの祖、8島を統一しハワイ王国を成立させたカメハメハ大王を称える祝日です。
この日が大王を記念する日として宣言されたのは、かなり以前のこと。1871年(明治4年)12月にカメハメハ5世が、祖父にあたるカメハメハ大王の名誉を称えて制定しています。
準州時代もそのまま守られ、1959年にハワイが50番目の州になった後、改めて州の休日として定められました。
数々の偉業が伝えられるカメハメハ大王。イオラニ宮殿前に建つカメハメハ像の台座の4面にはその出来事が描かれています。その1つは、1778年、クック船長率いる探検船が北極海の調査から越冬のためにハワイ島ケアラケクア湾に到着したところの描写です。カメハメハが初めて西欧人に接し、ハワイ8島の統一を成し遂げるそもそもの原点になったと云っても過言ではない一場面です。
カメハメハ デイの数日前には、カメハメハ像に長大な花のレイを掛けるセレモニーが行われます。
パレードは、レイを掛けた大王像の前からアラモアナを通り、ワイキキのカラカウア通りまで、かなり長い道のりで楽しめます。その年の王族に選ばれたハワイアンの人達や、各島を代表する馬に乗った女性達パウ ( pāʻū ) ライダーやパニオロ ( paniolo ) もパレードの主役ですが、大王の曾孫、バニース パウアヒ ビショップ夫人の遺言に基づいて創設されたカメハメハ校のブラスバンドも毎年誇らしげにこのパレードに参加しています。
因みに、カメハメハ デイを制定した、大王の孫カメハメハ5世は一生独身。42歳で亡くなっています。5世は1872年に体調を崩し、カメハメハ大王の末裔ビショップ夫人を病床に呼び、王位を継承したい旨告げますが、パウアヒはこれを受諾せず、ここで大王直系の王の時代が終わりを告げます。明治5年のことでした。
アリイオラニハレの前に建つカメハメハ大王像
3. ステイトフッド デイ Statehood Day 毎年8月第3金曜日
1959年(昭和34年)8月21日、アラスカに続き、ハワイがアメリカ合衆国50番目の州に昇格した日を記念する祝日です。以前はアドミッション デイと呼ばれていました。
ハワイ王国からハワイ共和国と、国として存続した時代を経て、1900年に米国のテリトリー(準州)になったハワイ。20世紀になってからも砂糖産業中心の経済が続きますが、パイナップルやコーヒーも主要産業の仲間入りをし、真珠湾を中心とした軍関係もその経済を推し進めていきました。
そして第2次世界大戦。ハワイから出兵した日系2世で無事帰国を果たした人達の多くが戦後のハワイ準州の各分野で指導的役割を果たし、ハワイにおける民主党の台頭につながり、ハワイを州に昇格させる原動力になりました。
カメハメハ3世が定めたハワイ王国旗。
カラカウアが作詞したハワイ王国国歌「ハワイ ポノイ」 ( Hawaiʻi Ponoʻi ) 。
今年(2024年)、ハワイは州になり65周年を迎えますが、王国旗は州旗として、ハワイ ポノイは州歌として、現在も州の象徴として守られています。
ところで、ハワイ語の「アロハ」の意義がハワイ州憲法5条に記載されていることをご存知ですか?
アメリカ合衆国旗とハワイ州旗
この章のポイント
- 2024年8月、ネイティヴハワイアンの伝統を守りつつ、ハワイ州は65歳の誕生日を迎えます。
付帯的な情報・発展情報
毎年5月1日は休日ではありませんが、ハワイでは「レイ デイ」と呼ばれ、ネイティヴハワイアンの文化と習慣を尊び、特別のレイを作ったり、贈ったりして祝います。 ” May Day is Lei Day in Hawaiʻi “ の曲とケイキ(子供)フラを楽しんだことがあるでしょう。
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浅沼 正和Masakazu Asanuma担当講師
【インタビュー動画あり】
ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、21年間務めた。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。