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ハワイ語特有の表記ーオキナとカハコー
ハワイ語は5つの母音(A E I O U)と8つの子音(h k l m n p w ʻ )の計13文字から成り立つ言語です。
ʻOkina(オキナ)について
子音の最後にアポストロフィのような記号がありますが、これがオキナ(ʻokina)と呼ばれるもので英語ではglottal stop (声門停止)と呼ばれていますが、言語学的には「声門閉鎖音」と呼びます。
一見アポストロフィーのようで、記号だと思われがちなのですが、ハワイ語ではれっきとした文字の一つと見なされています。形も良く見ていただくとアポストロフィは数字の9のような形に対して、オキナは数字の6のような向きになります。
声門閉鎖音というと難しく聞こえてしまいますが、簡単にいうと母音の音を分ける役割なのです。音でいうと日本語の小さな「ッ」に近いかも知れません。英語だと、何かしでかしてしまった時に言うOh-oh!(オッオー)とか、 button (ボタン)のttの発音に似ています。
オキナの役割:
- 二つの母音を分ける
- 母音の前にストレスを付ける
hao ハオ 鉄 haʻo ハッオ 懐かしむ
koe コエ 残り koʻe コッエ 回虫
kou コウ あなたの koʻu コッウ 私の
mai マイ こちらに(方向指示) maʻi マッイ 病気
オキナが付くか付かないかで一つの単語の音もかなり変化しますし、また意味が全く異なってしまう事がお解りいただけたかと思います。
Kahakō(カハコー)について
カハコーは日本語のローマ字表記で使われる長母音と同じ役割を持っています。
ハワイ語の5つの母音の上にマクロンと呼ばれる横棒がついて、ハワイ語の長母音となります。kaha はハワイ語で線を意味し、kōは長いとか引きずると言う意味なので、「長く伸ばす棒」となるわけです。
通常のハワイ語の母音の二つ分くらいの長さに伸ばす音となります。
カハコー:
- 母音のみに付く
- 長母音になる事で母音にストレスがつく
mano マノ 沢山の manō マノー サメ
naha ナハ 曲がった nahā ナハー 割れる
wahi ヴァヒ 場所 wahī ヴァヒー 包み
ハワイ語は通常後ろから二つ目の母音にストレスがつく事が一般的なので、上のカハコーがない単語はマノでしたらマの所にアクセントが来ますが、カハコーがつく事でマノーのノーの部分にアクセントが来ることになると言うように、音にも変化が起きるのです。
1820年以降、宣教師たちがハワイへやって来た事でそれまで口頭言語だったハワイ語が文字を持つようになった訳ですが、その後に印刷されたハワイ語の新聞や文書などをみると多くのカハコーやオキナはついていない事が多いのです。当時はハワイ語が普通に使われていた時代でしたので、これらの表記がなくても理解されていたと言うこと、あるいはタイピングの設定上表記ができなかったと言うことも理由にあるかもしれません。
現在ではハワイ語フォントがあり、パソコン上でも自由にハワイ語表記ができる時代で、学校教育の中ではこれらのオキナやカハコーはスペリング上入っている事が正しいとか間違いという扱われ方をしてしまいます。もちろん先に示したようにオキナやカハコーの有無で単語の意味が全く変わってしまう事がある訳ですから、無視できない大切な部分なのです。
しかしながらハワイ語が口頭言語であったということを尊重した時、例えば地名であったり、フラのメレやチャントに出てくる言葉の表記だったりする場合に、オキナやカハコーの有無について複数の論説が出てくる場合があるのです。例を挙げるとハワイの島の一つモロカイ島は一般的な表記をするとMolokaʻi(モロカッイ)となります、これは父なる天の神ワーケアが月の女神ヒナを妻として生まれて来たのがMolokaʻi nui a Hina(偉大なるヒナのモロカッイ)というところからモロカッイという説。しかし一部の人はMolokai(モロカイ)と発音します。Moloは曲がりくねったという意味 Kaiは海、モロカイからオアフの間にある海峡は海流が荒く曲がりくねるのですが、それを利用してモロカイとオアフの間をカヌーで行き来していたことからMolokaiとオキナをつけずに発音する人もいる訳です。言語を学ぶためには言語の標準化というものは大切です。しかしながら本来口頭言語であったハワイ語を完全に標準語化することはとても難しい側面を持っていることを理解しなくてはならないと思うのです。ハワイ語の面白さはこのモロカイの例のように、言葉を分解したり、文化的な背景や歴史的な背景を深く知ることで複数のバリエーション、あるいは隠された意味だったりが潜んでいることを見つける事ができる事。どちらが正しいという概念だけでなく柔軟な心と頭で向き合っていく事がハワイ語を知る上では必要なのではないかと思います。
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ミイラニ・ヨシコ・クーパーMi'ilani Yoshiko Cooper担当講師
Kahaluʻu在住
Halau Kīhene Pua Uluwehi (ハラウ キーヘネプアウルヴェヒ オアフ島/神奈川)主宰、クムフラ
Lamakū Hawaiian Study Education (ラマクーハワイアンスタディーエジュケーション)主宰
アロハフロウファウンダー
プランツメディスンメイカー
ハワイ大学ヒロ校ハワイ学科卒業 ハワイアンイマージョンスクールNāwahīokalaniōpuʻu(ナーヴァヒーオカラニオープウ)で教鞭を執る
ハワイ大学マノア校言語学修士
2006年正統な伝統儀式のもとクムフラの称号を与えられる
フラヘブン(雑誌)に2年半連載ページを執筆
個人、企業向けの様々なハワイ文化講座を指導
現在ビショップ博物館Lā Kūleʻaプログラムのフラクラスを担当
アンティ マイキのフラを継承するクムフラ、メイ カママル クラインの元、指導者としてフラを学び2006年8月にウニキを経てクムフラの称号を与えられる
ジョニー ラム ホー、レイ フォンセカの元よりメリーモナーク フラ フェスティバルに出場経験多数
カジメロブラザースやハパなど有名ミュージシャンのコンサートの出演経験多数
また、ダンサーとしての体作りの必要性からヨガを始め、ハワイの文化とヨガを融合させた Alohaflowを独自で考案
ハワイの価値観をもとにHoʻoponopono的なライフスタイリングや自然と調和できるサステイナブルなライフスタイルを目指している