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2020.05.19

プリンス・クヒオ・デイ・セレブレーション

ここがポイント

プリンス・クヒオ・デイ・セレブレーションの行事を、3月後半の訪布を予定する際の参考にしては如何でしょう

毎年3月26日はプリンス・クヒオ・デイと呼ばれるハワイ州が定めた休日です。

 Prince Jonah Kūhiō Kalanianaʻole Day Cerebration

 
クヒオ王子 ( Prince Jonah Kūhiō Kalaniʻanaole Piʻikoi ) は、1871年(明治4年)カウアイの生まれ。
カラカウア王のお后カピオラニの甥にあたり、少年時代は王妃の養子(ハナイ hānai )として、ホノルルのロイヤルスクールとプナホウ校で教育を受けて育ちます。
クヒオ21才の時、カラカウアの妹リリウオカラニ女王が王権を放棄しハワイ王国が終りを告げ、ハワイ共和国 ( Republic of Hawaii ) の時代になります。しかし王国終焉2年後には王権を取り戻そうとの蜂起が起こり、クヒオもその動きに加わりハワイ共和国への反逆罪で逮捕され、1年近く収監されています。
その後も政治活動を継続していたクヒオは、ハワイが準州 ( Territory of Hawaii ) になってからは共和党員としてワシントンD. C. で準州選出の米合衆国議員を務めました


(準州時代のクヒオ王子:ビショップ博物館の展示物より)

王国最後の王子として、且つ準州時代も引き続きハワイを代表する立場にあったその生涯を思い起し、地元に貢献した功績を称えて、クヒオの誕生日をハワイ独自の休日と定めたのがプリンス・クヒオ・デイ。それに合わせて各所で開かれるお祝い事がプリンス・クヒオ・デイ・セレブレーションと呼ばれる一連の行事です。

ハワイでは毎年、クヒオを称えるパレードが行われます。
同じようにネイティヴハワイアンの文化を見える形で残している6月のカメハメハ・デイや9月に行われるアロハ フェスティバルのフローラルパレードと比べると、紹介されている歴史の構成はやや近代的な感じがします。

黒のフロックコートや背広に身を包んだハワイアンの男性や、黒いドレスにレイを掛け、パンダナス(ハラ hala )の葉を編んで作った帽子( pāpale を被った女性が登場し、西欧文化やキリスト教の影響を受けたハワイ王国後半以降の独特なファッションが見てとれます。
そして、忘れてはならないのが欧米的な衣装の上に羽織っている、肩を隠す程度の大きさの、王家の者であることを表すケープ(キプカ kīpuka )です。


(この写真はクヒオ・デイ・パレードのものではありませんが、黒のスーツにネクタイを着け
キプカを纏うハワイアンの男性が行進しているところです。)

クヒオ王子の生涯を思い起し後世に伝えていこうと行われている催事は、生まれ故郷のカウアイ島でも開かれます。
クヒオはカウアイ最後の首長(アリイ ヌイ aliʻi nui )であったカウムアリイ ( Kaumualiʻi ) の曾孫にあたり、島の南部、コロア ( Kōloa ) 、現在島内随一のビーチリゾートに発展しているポイプ ( Poʻipū ) で生まれたと伝えられています。
 

(カウアイ島ポイプビーチ)
 
そして、ワイキキの聖オーガスチン教会前のクヒオビーチに建つ背広姿にアフウラをまとったクヒオ王子の像に、ハワイ王国が終りを告げてハワイ共和国となり、米合衆国の準州になっていく時代を生き抜き、1922年(大正11年)、50歳で他界したハワイ王家の末裔の姿を偲ぶことが出来ます。


(ワイキキ海岸、クヒオビーチに建つクヒオ王子の銅像)

 
補足事項

プリンス・クヒオ・デイは、1949年(昭和24年)に準州議会によりハワイ独自の休日として制定されています。

ハワイ州では休日になっていないのですが、プリンス・クヒオ・デイの前、3月17日はセント・パトリックス・デイ ( St. Patrick’s day ) 。
アイルランドにキリスト教を布教したとされる 聖パトリックの命日で、アイルランド系移民の多い全米各地で催事が行われ、ハワイでもアイルランドを象徴する緑の着衣や印をつけて人々が誇らしげに集まり、アイリッシュ バーもお祭り気分で盛り上がります。

  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、21年間務めた。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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