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2020.05.29

ジョージ・ナオペ

ここがポイント

「アンクル・ジョージ」の愛称でフラ・コミュニティーから愛され尊敬されたフラ・マスターを知る

デューク・カハナモクが「現代サーフィンの父」なら、「現代フラの父」はジョージ・ナオペだ。
ハワイの伝統文化フラの古典を次世代に伝え、さらに海外にフラを広めた立役者ジョージ・ナオペは、2009年に81歳で亡くなるまでその強烈な存在感でフラ継承に貢献した。

ジョージ・ナオペの最大の偉業をひとつあげるなら、ハワイのフラ競技最高峰メリー・モナーク・フェスティバル創設だろう。

※メリー・モナークについての詳細はこちら
 →現代のフラ


世界のフラ・コミュニティーから愛された「アンクル・ジョージ」の本名はジョージ・ラナキラケキアヒアリイ・ナオペ。1928年2月25日オアフ島生まれ、ハワイ島ヒロ育ち。
3歳でクムフラの曾祖母から伝統フラの洗礼を受け、チャントを学び始める。
13歳で古典フラをヒロで教え始める。
高校卒業後、ホノルルでジョージ・ナオペ・フラ・スクール開校。
前世代の伝説的なクムフラ、ロカリア・モンゴメリーやイオラニ・ルアヒネなどからも学び、伝統フラの継承者として貴重な存在となっていく。

エンターテイナーとしても活躍したジョージ・ナオペが、ウクレレを弾き歌う音楽活動を始めたのは12歳からだという。
SPレコード(50年代以前の大きいレコード盤)時代にレコーディングした曲のいくつかは、古い音源を集めた企画ものアルバムに収められ、今も聴くことができる。


ソングライターとしては、フラのスタンダード曲になっているハワイ島カウ地区をたたえる『Ka Nani Aʻo Kaʻū』などを残している。


[メリーモナーク2010のステージで他界したアンクルを偲んだフラ]


多くの次世代クムフラを育てたことも、彼がフラ界に残した大きな業績だ。
ジョージ・ナオペから学んだクムフラの中には、チンキー・マホエ、イヴァラニ・カリマ、カピオラニ・ハオ、故レイ・フォンセカなどが含まれる。

親日家だった彼は、日本にも多くの弟子を持っていた。
フラを学びたいものに広く門戸を開いたアンクル・ジョージの思いはこの言葉に表れている。
「人種が何だろうと、皮膚の色が何色だろうと、フラを踊るとき、彼らはハワイアンだ。」

晩年、メリー・モナーク・フェスティバルなど公共の場では、きらびやかなスーツにハットという伊達男っぷりが印象的だった。ステージの上ではコミカルなエンターテイナーに徹していた彼だが、オフステージでのクムフラとしての厳しさは語り草だ。


フラとは何か?という究極の問いに、彼はこう答えている。
「フラはハワイそのもの。フラは私たちの祖国の歴史。フラは正しくやれば物語を伝える。そして私にとってフラは、生きる基盤だ。フラは私たちに、生き方を、リスペクトする心を、そしてシェアする心を教えてくれる。」

ジョージ・ナオペ 2007年10月八丈島にて

アンクル・ジョージと一緒に仕事をさせていただいたことが何度かあった。最後になったのは2007年に彼を審査員として招いて開催した八丈島でのフラ・イベント。写真はそのときのもの。イベント司会者・通訳としての仕事を通して、レジェンドに触れることができたのはたいへん光栄なことだった。

  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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