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所用時間5min
2014.01.18

サーフィン

ハワイアンはいつ頃からサーフィンをやっていたのか?
 

  • キャプテン・クックがハワイを見つけたとき、すでにサーファーは存在した
  • 神話や伝説にもサーフィンは描かれる
  • カメハメハ大王は優れたサーファーだった
  • カラカウア王をたたえるチャントはサーフィン・ソングだった


1778年にキャプテン・クックがハワイを発見したとき、すでにサーフィンはこの島々に暮らすハワイアンたちの国民的なアクティビティーとして確立していたと言われます。1779年1月22日付のクックの日記には、彼がハワイ島ケアラケクア湾で見た、板を使って大きな波を越え沖へ出ていくたくさんの若い男女が、「鳥が飛ぶような速さ」で波に乗って楽しんでいる姿が描かれています。サーフウェアもリーシュも、ボードを載せる車もなかった当時のハワイのサーファーたちは、木の幹から削り出した重いサーフボードを繰って、裸で波と戯れていました。海と親しく生きてきたハワイアンは、洗練された波乗りの技術を早くからマスターしていました。伝承や神話に古代ハワイのサーフィンが伝えられている。ハワイに実在するサーフ・スポットを舞台に、サーフィンの技術に優れた美女や美男が、プリンスやプリンセス相手に口説いた口説かれたり、サメの化身にさらわれたり鳥の化身に石にされたり、波乗りで対決したりと、いろいろな物語を展開してみせます。


男女間の恋愛や性愛とサーフィンは、じつは切っても切り離せないものだったのでしょう。その昔のハワイでは、同じ波に乗って浜に上がった男女は、その日1日、公然と親密に過ごすことができる、という言い伝えもあったといいます。サーフィンがいかにハワイの人たちの生活習慣とつながっていたかが、こんな言い伝えからも伝わってくるのではないでしょうか。


ハワイでは国王さえもサーファーでした。ハワイで今も踊られる古いフラ・ソングに『ヘエイア』というチャントがあります。これは60年代にアメリカでサーフィン・ミュージックを流行らせたビーチボーイズのヒット曲サーフィンUSAよりも、100年近く前に存在したハワイのサーフィン・ソングのひとつです。カラカウア王に捧げられた唄で、ハワイ島のサーフ・スポット「ヘエイア」で波乗りをするカラカウアと、彼の性的なたくましさを称えています。初代国王カメハメハも優れたサーファーだったことが知られいています。


19世紀にサーフィンがフラや信仰とともに抑圧された時期がありましたが、サーフィンがハワイからなくなることはありませんでした。
19世紀後半、作家マーク・トウェインがハワイ滞在中に体験したサーフィンについて記事を書いています。海水をたらふく飲んでひどい目にあった彼は「サーフィンはネイティブ(ハワイアン)だけが習得できるもの」とその記事を締めくくっていました。
長い間ハワイの人たちだけが楽しんでいたと思われるサーフィンが、20世紀になるとハワイアン以外の人にも知られるようになっていきます。
たったひとりのハワイアンの存在によって、サーフ・カルチャーの波は世界に広がっていくことになります。その人とは「モダン・サーフィンの父」と呼ばれるハワイのレジェンド、ご存知デューク・パオア・カハナモクです。ワイキキのビーチには、今も彼の銅像がサーフボードを背に立っています。

 

ハワイ・サーフィン歴史年表


■18世紀以前 古代ハワイ・サーフィンの時代
古代から伝えられる伝説、神話、チャントの中にサーフィンが登場、文字での記録なし
1778 キャプテン・クック、ハワイ上陸
最初のサーフィン記録
男も女も木から削りだした板を使ってサーフィンを楽しんでいた


■19世紀 古代サーフィン衰退の時代
急速な西洋化と感染病による人口激減で、ハワイアンの信仰、価値観、文化衰退
サーフ・ポイントでのサーファーの姿、激減
1819 カプ・システム 崩壊 
1820 宣教師到来
1872 作家マーク・トウェインがワイキキでのサーフィン体験をレポートした記事 "Roughing it"発表
1890 デューク・カハナモク誕生


■20世紀 モダン・サーフィンの始まり
1907 作家ジャック・ロンドンがサーフィン・エッセイ "A Royal Sport"発表
1912 デューク・カハナモクが五輪水泳自由形で金メダル獲得、カリフォルニアで群集の目前でサーフィンを披露
1915 デューク、オーストラリアにサーフィンを伝える
1935 初のサーフィン・ブック『Hawaiian Surfriders 1935』(トム・ブレイク)発行、トム・ブレイク、サーフボードのフィンを考案
1946 エディー・アイカウ誕生
1950 レル・サン誕生


●50年代
サーフボードの素材が、木からバルサ、発泡ウレタンに変換。
カリフォルニアでサーフィン人気に火がつく


●60年代前半
カリフォルニア発信のサーフ・カルチャー
ベンチャーズ、ビーチ・ボーイズなどを筆頭にサーフィン・ミュージック人気
1960 初のサーフィン雑誌『The Surfer』創刊
1960 サーフ・ブランド『Hang Ten』創業
1961 エルビス・プレスリー主演映画『ブルー・ハワイ』公開
1965 第1回デューク・カハナモク国際サーフィン・チャンピオンシップ、ノースショア、サンセット・ビーチで開催
1966 映画『エンドレス・サマー』公開


●60年代後半
ショートボード革命
ビッグウェーブ・サーフィン人気、ワイメアが注目される。エディー・アイカウがビッグ・ウェーブ・サーファーとして注目を集める
1968 デューク・カハナモク他界。エディー・アイカウ、ワイメア初のライフガードに任命される


●70年代
1970 オーストラリアでサーフ・ブランド『Quiksiver』創設
1971 ハワイにサーフ・ブランド『Town & Country』O'Neillがリーシュを販売
1975 レル・サンが初の女性サーファー・チームの一員としてプロ・サーフィン・ツアーに参加
1976 ポリネシア航海カヌー、ホクレア第1回タヒチ航海
レル・サンがハワイ初の女性ライフガードに任命される
1977 サーフ・ブランド Local Motion 創設
1978 エディー・アイカウ、タヒチ航海クルーとして乗り込んだホクレアが転覆、救助を求めカヌーを離れた彼は消息を絶つ

  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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