ハワイ語で「歌」を「メレ (mele)」といいます。
草花を紡いでレイを編むように、ハワイアンは言葉を紡いでメレをつくります。
そのメレで、人や出来事や場所をたたえます。
メレの中にハワイアンの考え方や価値観が透けて見えてきます。
ではハワイの島々はメレの中でどのように歌われているのでしょう。
島をたたえるメレをセレクトしてご紹介します。

ハワイ最高峰のマウナケアや活火山のキラウエアがそびえるハワイ諸島最大の島、ハワイ島をたたえるメレを紹介しましょう。
曲名は『（ヘ・アロハ）モク・オ・ケアヴェ』。
ハワイ島をたたえるこの古いメレの作者は、カラカウア宮廷フラダンサーだったエマリア・カイフムア。1894年に滞在したサンフランシスコの寒さでホームシックになり、恋しいハワイ島への思いをこの歌に綴りました。



Moku O Keawe
(Emalia Kaihumua)

He aloha moku o Keawe
ʻĀina i ka nani me ka maluhia

Hoʻokūkū wau me Kaleponi
Hawaiʻi nō ka ʻoi o nā ʻailana

ʻĀina kamahaʻo i kaʻu ʻike
Ua uhi paʻapū ʻia e ka ua noe

ʻIke i ka hau hoʻokuakea ʻili
Hoʻopumehana i kahi kapuahi

Ka ʻiniki a ke anu me he ipo ala
E koi mai ana iaʻu e huli hoʻi mai

Haʻina ʻia mai ana ka puana
ʻĀina i ka nani me ka maluhia

愛しいケアヴェの島
美しく平和な地

私はくらべるカリフォルニアと
ハワイ島が諸島で一番

素晴らしい地、私の目に
包まれる、霧雨に

見るのは白く積もる雪
温まる、暖炉で

寒さはまるで愛の痛み
駆り立てる私を、戻るよう

歌に伝える
美しく平和な地

（訳詞：よしみだいすけ）

歌の中の固有名詞を補足します。

Keawe　ケアヴェ
古代のハワイ島の王。Moku o Keaweは「ケアヴェの島」という意味でハワイ島の愛称として親しまれる。

Kaleponi　カレポニ
カリフォルニア

Hawaiʻi　ハワイ
ハワイ島