講座詳細
クムリポ以外の天地創造
四大神が世界と人類を創造した話など、クムリポ以外の創世記もある
- 父なる空の神ワケア、母なる大地の女神パパは、ハワイ神話において主要な創造神
- 四大神の天地創造にまつわる話も知られる
- 半神半人マウイもまた、この世の形成にひと役買っている
ワケアとパパによる島々の創造
ハワイの主要な島々も全て、ワケア、もしくパパの子供たちだそうです。まずワケアとパパが幸せに暮らしていた時代に、ハワイ島、マウイ島、カホオラヴェ島、モロキニ島が生まれました。ところがパパがタヒチに里帰りしている間にワケアは、カウラという女性の間にラナイ島を、女神ヒナとの間にモロカイ島をもうけます。それを聞いて怒ったパパは、ハワイに戻って得た新たな夫ルアとの間に、オアフ島を出産。やがてパパとワケアは仲直りし、カウアイ島、ニイハウ島、レフア島、カウラ島、ニホア島が生まれたのだそうです。
四大神による天地創造
大昔、まだ世界が混沌としていた頃。四大神の1人、カネが海からひょうたんを拾い、宙高く投げ上げました。するとその上半分が空になりました。ひょうたんの大きなかけらの1つは太陽に、もう1つは月になりました。種は空に広がり、星々になって宇宙が誕生しました。またひょうたんの下半分は大地となり、その一部は再び海の底へと沈んでいきました。次いで海の神カナロアが海を生物で満たし、カネは地上の生物を創造。森の守護神でもあるクーは森と木々を創りあげ、最後にロノ神が人類の食物となる植物を次々と創り、この世が完成しました。
四大神による人間の創造
この世が完成すると、神カナロアが赤土で神に似せた人型を創りました。土人形に呼びかけましたが返事がなく、そのまま石になってしまったので、今度は神カネが人型を創ってみました。カネはほかのロノ神、クー神にも応援を頼み、一緒に「起きよ!」と命じると…。土人形はついにムクムクと起き上がり、人間の男となりました。これがこの世に生まれた初のハワイアン。ちなみに神々が人間を創ったのは、オアフ島カネオヘ湾に伸びるモカプ半島でした。現在はパフナと呼ばれる地域の赤土で、土人形が創られたのだそうです。
神々が初のハワイアンを創ったという、カネオヘ湾のモカプ半島
ハワイ諸島を海から釣り上げたマウイ
半神半人マウイは釣りが大の得意。どんな大物がかかっても折れない大きな魔法の釣り針を持って、ある日釣りに出かけました。すると、大きな獲物が釣り針にかかりました。それはなんと、海を漂っていた大陸でした! 兄弟たちに応援を頼み、なんとか海から大陸を引っぱりあげようとしたマウイ。ところが兄たちがマウイの獲物を見ようと動いたことからカヌーが揺れ、釣り糸が切れてしまいます。海に落ちた大陸はこなごなに砕け、それがハワイの島々になった、ということです。
マウイ島カフルイ空港にある半神半人マウイの像
(太陽を捕まえているところ)。
関連コンテンツ
⇒ワケアとパパ
⇒カネ&カナロア神話1
⇒マウイ1
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森出 じゅんJun Moride担当講師
【インタビュー動画あり】
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex