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所用時間5min
2020.12.22
ホノルル美術館
ここがポイント
米国博物館協会の認定を受けた総合美術館
ホノルル美術館は1927年にアナ・ライス・クック夫人によりオープンした米国博物館協会の認定を受けた総合美術館です。クック夫人は1853年、アメリカより来島した宣教師を親に持ちオアフ島で生まれました。両親の影響もあり小さい時より美術にとても興味を持つ女性となりました。成人し、ビジネスマンを親に持つチャールズ・クック氏と結婚し1882年に現在の博物館の場所に住み始めました。
二人は客間用の陶器や織物などのコレクションから始め、どんどんとアートコレクションを増やして行きました。その結果、そのコレクションを使いハワイの子供達の為に、多民族が融合しているユニークなアートギャラリーを作ることを決心し、リサーチなどを開始しました。いよいよ美術館を作るときになると、彼らの家を取り壊し、同じ場所に美術館を建設し始めました。ニューヨークの建築家バートラム・グッドヒューを雇い本格的に建築し、その中にはハワイアン、中国、スペインなどのスタイルを入れ込みました。その後図書館、エジュケーション・ウイング、ギフトショップ、カフェ、コンテンポラリー・ギャラリー、シアターなど増築されていきました。当初、美術館の永久貯蔵品は約875 点ほどだったものが、今では50,000点以上になり、西洋美術ではゴッホ、ゴーギャン。日本の浮世絵は写楽、北斎、歌麿、広重などが勢ぞろいし、全米ではシカゴ、ボストンに続き所蔵数第3位となりました。歌川広重の作品は所蔵数世界一を誇っています。ハワイ王朝に関わるハワイアンアート、テキスタイルからコンテンポラリー・アートまでは幅広いコレクションがあります。
美術館の展示はだいたい国別に分けてあり約30の展示室があります。ハワイアンアート、ヨーロッパアート、アメリカンアート、日本の浮世絵、日本美術、中国美術、韓国美術、イスラムアート、アジアンアート、コンテンポラリーアート、テキスタイルアート、仏教・神道、企画展のための特別展示室(2つ)が主な展示室です。世界中のアートが1日ですべて網羅できるというのは素晴らしいと思います。
現在でもクック夫人の意向を汲み、ハワイのコミュニティーの為に色々な分野での美術館のあり方を伝えています。
正面のエントランスはベレタニア通りに面し、トーマス・スクエアの山手になります。
美術館正面 Courtesy Honolulu Museum of Art
中庭の一つに中国式庭園があります。庭園の池、草花、芝などで、地球を構成するすべての自然である海、山、大地を小さな庭の中に表現しています。
中国式庭園 Courtesy Honolulu Museum of Art
地中海式庭園では噴水や壁面のタイルアートが美しく、人気のインスタグラムのスポットとなっています。
地中海式庭園 Courtesy Honolulu Museum of Art
仏教・神道の展示室には中国元朝時代の作とされる4本の木製の柱があり、仏の一生が彫られ、高さ2メートルを超える大作の展示があります。他にも平安時代作の大日如来像や同じく平安時代作の地蔵など、日本の仏教・神道美術が揃っています。
その中でも中央の観音像は1025年頃中国、北宋で作られたもので顔が慈悲に満ち溢れています。
また、滋賀県、真言宗智山派の宗教法人・日出山神照寺に伝わっていた金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠があります。この華籠は現在までのところ20点が確認されていてそのうち16点が日本で国宝に指定されています。この美術館にあるのはその20点のうちの平安時代に制作された一つで、専門の研究者によると「日本で国宝に指定されているものより品質、および保存状態が間違いなく格段上」とのお墨付きをもらっているそうです。
仏教・神道ギャラリーへの回廊(右には中国式庭園) Courtesy Honolulu Museum of Art
観音 Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:2400
タイトル:観音菩薩像
作家名:作者不詳
ハワイアンアートの展示室はハワイ各島を描いた風景画など、ハワイの歴史や自然を学べます。また美しい羽でできたケープやキルトなど、テキスタイルの所蔵品も豊富です。76点からなる創立者アナ・ライス・クックのコレクションには、ポイ・パウンダーとボウル、カパ・メーカー、カパ・ビーター、カラバッシュなどもあり、当時のハワイアンの人々の生活を垣間見ることができる貴重な所蔵品も含まれています。
ハワイ王朝歴代の王や女王の肖像画は「肖像画」の展示室に展示されています。
クック夫人はキルトのコレクションもされていました。2017年にホノルル市と郡姉妹都市締結3周年記念として神奈川県茅ヶ崎市で開催されたホノルル美術館所蔵ハワイアンキルト展に20枚のキルトが展示されました。その中の4枚はクック夫人、またはクック夫人基金よりホノルル美術館に寄付されたビンテージのハワイアンキルトでした。美術館には35枚のハワイアンキルト、60枚のウエスタンキルト、合計95枚を所蔵しています。数年に一度の特別な展示などで見ることができます。
ハワイアンアート展示室 Courtesy Honolulu Museum of Art
レイ・メイカー Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:5490.1
タイトル:レイ・メーカー
作家名:セオドア・ウォレス
印象派・ポスト印象派の展示室にはモネやゴッホのアートがあります。ゴーギャン、ピサロ、セザンヌなどの巨匠のアートもあり、ハワイという場所を忘れてしまうくらいです。絵画の他に彫刻も展示されています。弓をひくヘラクレス像のシリーズで有名なフランスのブールデルの「弓をひくヘラクレス」や絵画で有名なルノワールも晩年に数点の彫刻を残しましたが、その中の1点「洗濯をする女性」も展示されています。
印象派展示室 Courtesy Honolulu Museum of Art
モネ Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:3385.1
タイトル:睡蓮
作家名:クロード・モネ
浮世絵の展示室はかなり充実しています。浮世絵のような紙作品は、日光や照明の明かりで劣化してしまうため、最長で2ヶ月しか展示することができない為、2ヶ月毎に展示を替えるそうです。一度展示すると5年ほどは収蔵庫で保管しないといけないため、しばらく見ることができないそうです。美術館を訪れるたびに、違う浮世絵が見ることができるのも素晴らしいことですね。また、世界的にも有名な葛飾北斎の「冨嶽三十六景」はすべて初刷りの貴重な物が揃っています。
日本の展示室(手前は聖徳太子像) Courtesy Honolulu Museum of Art
北斎 Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:13695
タイトル:冨嶽三十六景より神奈川沖浪裏
作家名:葛飾北斎
併設されたカフェでは、オープンエアの中でイサム・ノグチやジュン・カネコのダイナミックな彫刻を眺めながらおいしいランチが楽しめます。
ホノルル美術館
900 South Beretania St.
Honolulu HI
電話:808-532-8700
サイト:https://honolulumuseum.org
営業時間:時期によって変わるので、サイトをご覧ください。
*注:展示作品も時期によって変わるのでご了承ください。
二人は客間用の陶器や織物などのコレクションから始め、どんどんとアートコレクションを増やして行きました。その結果、そのコレクションを使いハワイの子供達の為に、多民族が融合しているユニークなアートギャラリーを作ることを決心し、リサーチなどを開始しました。いよいよ美術館を作るときになると、彼らの家を取り壊し、同じ場所に美術館を建設し始めました。ニューヨークの建築家バートラム・グッドヒューを雇い本格的に建築し、その中にはハワイアン、中国、スペインなどのスタイルを入れ込みました。その後図書館、エジュケーション・ウイング、ギフトショップ、カフェ、コンテンポラリー・ギャラリー、シアターなど増築されていきました。当初、美術館の永久貯蔵品は約875 点ほどだったものが、今では50,000点以上になり、西洋美術ではゴッホ、ゴーギャン。日本の浮世絵は写楽、北斎、歌麿、広重などが勢ぞろいし、全米ではシカゴ、ボストンに続き所蔵数第3位となりました。歌川広重の作品は所蔵数世界一を誇っています。ハワイ王朝に関わるハワイアンアート、テキスタイルからコンテンポラリー・アートまでは幅広いコレクションがあります。
美術館の展示はだいたい国別に分けてあり約30の展示室があります。ハワイアンアート、ヨーロッパアート、アメリカンアート、日本の浮世絵、日本美術、中国美術、韓国美術、イスラムアート、アジアンアート、コンテンポラリーアート、テキスタイルアート、仏教・神道、企画展のための特別展示室(2つ)が主な展示室です。世界中のアートが1日ですべて網羅できるというのは素晴らしいと思います。
現在でもクック夫人の意向を汲み、ハワイのコミュニティーの為に色々な分野での美術館のあり方を伝えています。
正面のエントランスはベレタニア通りに面し、トーマス・スクエアの山手になります。
美術館正面 Courtesy Honolulu Museum of Art
中庭の一つに中国式庭園があります。庭園の池、草花、芝などで、地球を構成するすべての自然である海、山、大地を小さな庭の中に表現しています。
中国式庭園 Courtesy Honolulu Museum of Art
地中海式庭園では噴水や壁面のタイルアートが美しく、人気のインスタグラムのスポットとなっています。
地中海式庭園 Courtesy Honolulu Museum of Art
仏教・神道の展示室には中国元朝時代の作とされる4本の木製の柱があり、仏の一生が彫られ、高さ2メートルを超える大作の展示があります。他にも平安時代作の大日如来像や同じく平安時代作の地蔵など、日本の仏教・神道美術が揃っています。
その中でも中央の観音像は1025年頃中国、北宋で作られたもので顔が慈悲に満ち溢れています。
また、滋賀県、真言宗智山派の宗教法人・日出山神照寺に伝わっていた金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠があります。この華籠は現在までのところ20点が確認されていてそのうち16点が日本で国宝に指定されています。この美術館にあるのはその20点のうちの平安時代に制作された一つで、専門の研究者によると「日本で国宝に指定されているものより品質、および保存状態が間違いなく格段上」とのお墨付きをもらっているそうです。
仏教・神道ギャラリーへの回廊(右には中国式庭園) Courtesy Honolulu Museum of Art
観音 Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:2400
タイトル:観音菩薩像
作家名:作者不詳
ハワイアンアートの展示室はハワイ各島を描いた風景画など、ハワイの歴史や自然を学べます。また美しい羽でできたケープやキルトなど、テキスタイルの所蔵品も豊富です。76点からなる創立者アナ・ライス・クックのコレクションには、ポイ・パウンダーとボウル、カパ・メーカー、カパ・ビーター、カラバッシュなどもあり、当時のハワイアンの人々の生活を垣間見ることができる貴重な所蔵品も含まれています。
ハワイ王朝歴代の王や女王の肖像画は「肖像画」の展示室に展示されています。
クック夫人はキルトのコレクションもされていました。2017年にホノルル市と郡姉妹都市締結3周年記念として神奈川県茅ヶ崎市で開催されたホノルル美術館所蔵ハワイアンキルト展に20枚のキルトが展示されました。その中の4枚はクック夫人、またはクック夫人基金よりホノルル美術館に寄付されたビンテージのハワイアンキルトでした。美術館には35枚のハワイアンキルト、60枚のウエスタンキルト、合計95枚を所蔵しています。数年に一度の特別な展示などで見ることができます。
ハワイアンアート展示室 Courtesy Honolulu Museum of Art
レイ・メイカー Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:5490.1
タイトル:レイ・メーカー
作家名:セオドア・ウォレス
印象派・ポスト印象派の展示室にはモネやゴッホのアートがあります。ゴーギャン、ピサロ、セザンヌなどの巨匠のアートもあり、ハワイという場所を忘れてしまうくらいです。絵画の他に彫刻も展示されています。弓をひくヘラクレス像のシリーズで有名なフランスのブールデルの「弓をひくヘラクレス」や絵画で有名なルノワールも晩年に数点の彫刻を残しましたが、その中の1点「洗濯をする女性」も展示されています。
印象派展示室 Courtesy Honolulu Museum of Art
モネ Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:3385.1
タイトル:睡蓮
作家名:クロード・モネ
浮世絵の展示室はかなり充実しています。浮世絵のような紙作品は、日光や照明の明かりで劣化してしまうため、最長で2ヶ月しか展示することができない為、2ヶ月毎に展示を替えるそうです。一度展示すると5年ほどは収蔵庫で保管しないといけないため、しばらく見ることができないそうです。美術館を訪れるたびに、違う浮世絵が見ることができるのも素晴らしいことですね。また、世界的にも有名な葛飾北斎の「冨嶽三十六景」はすべて初刷りの貴重な物が揃っています。
日本の展示室(手前は聖徳太子像) Courtesy Honolulu Museum of Art
北斎 Courtesy Honolulu Museum of Art
所蔵番号:13695
タイトル:冨嶽三十六景より神奈川沖浪裏
作家名:葛飾北斎
併設されたカフェでは、オープンエアの中でイサム・ノグチやジュン・カネコのダイナミックな彫刻を眺めながらおいしいランチが楽しめます。
ホノルル美術館
900 South Beretania St.
Honolulu HI
電話:808-532-8700
サイト:https://honolulumuseum.org
営業時間:時期によって変わるので、サイトをご覧ください。
*注:展示作品も時期によって変わるのでご了承ください。
補足事項
https://honolulumuseum.org
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藤原 小百合 アンAnne Sayuri Fujiwara担当講師
【インタビュー動画あり】
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。
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