講座詳細
主要な神々
実に多くの神々が登場するハワイ神話から、主要な神7人を紹介
- 日本の神道と同様に、ハワイの古代宗教は多神教。
ワケア
ワケアは父なる空の神。母なる大地の女神パパの夫であり、2人は数々の神話に、この世の創造主として描かれています(詳細は「ハワイの創世記、クムリポ」「クムリポ以外の天地創造」を参照ください)。
パパ
母なる大地の女神。夫ワケアとともに天地創造に関わります。モロカイ島、ラナイ島以外のハワイの島々は、全てパパが出産したものという神話も残っています。女神ハウメアと同一の神とする説もあります。
ハウメア
創世に関わった大地の女神パパ、人間の女性ライライと同一視されることもある、謎多い女神です。ハウメアの身体の様々な部分から多くの子供が産まれ、火山の女神ペレはハウメアの腿から生まれました。ハウメアは受胎能力や出産をも司り、母性を象徴する女神といえるでしょう。ハワイアン民族の母と呼ばれることもあります。
カメハメハ大王が戦いの神のために建てたヘイアウ(神殿)、
プウコホラ・ヘイアウ(ハワイ島)。ハワイ各地に異なる神々に
捧げられたヘイアウがあった
カネ
カネ、カナロア、クー、ロノはハワイ神話上の四大神(カネがタネ、カナロアがタンガロンガなど、四大神はわずかに名前を変えてポリネシアの多くの島々で崇拝されています)。四大神をこの世の創造主とする神話も残っています。中でも最高位とされるのがカネ。生命、日光、清水、癒し、植物などを司り、そのほかの神々と同様、珊瑚やフクロウなどさまざまな化身を持ちます。
カナロア
カネと2人でハワイ中で清水を探し出したりと、神話にはカネと一緒に登場することが多いカナロア。海の神であり、海の生物や潮流、海風、航海、(カネとともに)養魚池などをも司り、航海中のハワイアンは、昔カナロアの加護を求めて祈りました。その一方で、黄泉の国の神でもあります。カナロアの化身としては鯨、イカ、タコなどが知られています。
四大神の1人、カナロアの像
ビショップ博物館の展示より
クー
ハワイの神々はそれぞれ多くの神格を持ちますが、中でも二面性が強いのがクーでしょう。クーは戦いの神であり、クーのために建てられたヘイアウ(神殿)では多くの人身御供が捧げられました。その反面で漁業、農業、森、癒しも司り、古代、人々は種蒔き時や薬草を摘む際、クーに祈りを捧げました。ポジティブにもネガティブにも、命に強く関わる神といえます。
ロノ
ロノは豊穣、平和、愛、癒しの神。古代ハワイでは毎年10月または11月から4ヶ月間、ロノを祀るマカヒキという祭りが催され、戦いや労働はタブー。戦いの神のためのヘイアウも閉鎖され、人々はゲームやスポーツに興じて平和な時を過ごしました。言い伝えではロノは明るい肌色を持つとされ、それもあって1778年にイギリスのクック船長がハワイ島を訪れた際(おりしもマカヒキの最中でした)、ロノ神と誤解されたという経緯があります。
クーの神像はホノルルのビショップ博物館
を含め、世界に3体しか残されていない
ビショップ博物館の展示より
カメハメハ大王の戦いの神だった
クーカイリモクの像。
羽毛のほか、口周りには犬の歯が使われ
ている
-
森出 じゅんJun Moride担当講師
【インタビュー動画あり】
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex