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所用時間5min
2021.01.26

ハワイ州立美術館

ここがポイント

ハワイ州文化芸術財団により経営されている美術館

ハワイ州立美術館は2002年秋、ホノルルのダウンタウンにオープンしました。現在、美術館はハワイ州文化芸術財団により経営されています。1965年にハワイ州文化芸術財団は連邦芸術基金を受け取り、ハワイの人々のために芸術、歴史、人文科学を推進、永続、保存そして奨励するために創られました。現在の美術館は1928年に建てられたナンバーワン・キャピトル・ビルディングの2階にあり、アメリカ合衆国の国家歴史登録財となっています。美術館の建物は、スパニッシュ・ミッション・スタイルという建築様式を採用し、白い壁とスペイン風の瓦が特徴的です。この美術館はハワイのアーティストによる絵画、陶芸、彫刻、像などの芸術作品が展示してあります。

ハワイ州立美術館の外観

この美術館の歴史ですが、この建物が1928年に建てられる前、実は「ロイヤル・ハワイアン・ホテル」が存在していました。1872年現在のイオラニ宮殿(イオラニ宮殿は1882年に建立)はまだ建てられていませんでしたが、そのお隣、現在のハワイ州立美術館の土地にカメハメハ5世により「ハワイアン・ホテル」が建てられました。のちに風格を出すために「ロイヤル・ハワイアン・ホテル」と名称変更をしました。カメハメハ5世の時代にアメリカ本土から有名な作家や英国ヴィクトリア女王の次男エディンバラ公が来客としてハワイに来るようになり、西洋風のホテルが必要となったわけです。現在のワイキキのロイヤル・ハワイアン・ホテルの先駆けとなったホテルはもともとダウンタウンにありました。その建築はホノルルでも最先端を行っていた一つであり、庭のランドスケープも完璧なほどであったそうです。12棟のコテージを含むホテルでは200名ものゲストが泊まることができました。地下にはホノルルでは一番のビリヤードホールがあり、お酒の種類も豊富なバーが併設されていました。メインの入り口は2階にあり、ダイニングルームに繋がっていたと言います。ベランダもあり、ヌウアヌの山々の景色が見え、ハワイのトロピカル感が素晴らしかったと記されています。


初代当時のロイヤル・ハワイアン・ホテル Photo by Hawaii State Archive

1900年代になり、新たに建設されたアレキサンダー・ヤング・ホテルに客が流れるようになり、1917年にホテルは地元のビジネスマンにより買収され、アメリカ軍のYMCAビルになりました。その後1926年に老朽化した建物は壊され、現在の建物が建設されました。その後第1次、第2次世界大戦中そしてその後も1970年代の半ばまでは軍の施設として使われました。他に軍の施設が充実してきた後は、徐々に使われなくなり、1980年代にヘメター・コーポレションにより改装され、現在のナンバーワン・キャピトル・ビルディングへと移行しました。その後1988年まで使われ、ヘメター・コーポレーションのオフィスビルとして使われていました。現在も2階部分は美術館になっていますが、他はオフィスビルとして使われています。

 1920年代YMCAの頃のビル Photo by Hawaii State Archive

入り口を入ると右と左の階段から2階の美術館に行けるようになっています。

美術館はスカルプチャーロビー、ダイアモンドヘッド・ギャラリー、エヴァ・ギャラリーの3つの部屋に分かれています。ダイアモンド・ヘッドギャラリーは展示のテーマにより3つに区分けされ、常設ではなく期間ごとに展示物が変わります。現在7月に新たに展示が始まった「Mai Ho’ Ohuli I Ka Lima I Luna Exhibition」といい、ハワイに関しての絵画、描画、版画、織物、ドレープ、彫刻、彫物、陶器などが展示されています。これらのアート作品はコンテンポラリーアートであり、何かしらハワイに関連するテーマで創られています。これらはハワイ州文化芸術財団のアート・イン・パブリック・プレイス・コレクション(全米芸術基金)からの作品を展示しています。(2020年9月現在)

現在スカルプチャー・ロビーは1階にあり、もともとYMCAとして使われた時のプールの名残があります。現在はプールとして機能はしていませんが、プールの水のアートがあり、都会のオアシスを表現しています。また、「Mai Ho’ ohuli i ka lima i luna exhibition」に関するもの2点が展示されています。


スカルプチャー・ガーデン中央にあるプール内側のアート Photo by David Franzen


もともとエヴァ・ギャラリーはほぼ常設の展示がありますが、期間により変更されることもあります。過去にはハワイアンキルトやフラッグキルト、また日系人により創られた作品、アメリカ人が日本に行きインスピレーションを受けハワイに移り住み作った鯉のぼりのキルトの作品などハワイで生まれ、ハワイに住み、ハワイで育ち学校に行き、ハワイで教え、ハワイに住んでいる人たちにより創られた作品がハワイ州文化芸術財団のアート・イン・パブリック・プレイス・コレクションに保管されます。それにより日系人のアートもたくさん保管されています。西洋の有名な絵画を見る美術館とは違いますが、他では見ることのできない、ハワイ地元のアーティストによる作品をじっくり見ることができるユニークな美術館であることは確かです。


Madge Tennet 作の「2シスターズ・オブ・オールド・ハワイ」(1933年作)

アート・イン・パブリック・プレイス・プログラムを簡単に説明しますと、1967年に作られ、ハワイ州文化芸術財団を強化するため、ハワイのビジュアル・アートからのインスピレーションを受け文化と芸術を推進するために創られたプログラムです。
このプログラムは公共の楽しみと豊かさのために、州全体の州の公共の建物と空間の環境品質を向上させること、すべてのメディア、スタイル、テクニックでのビジュアルアートに対する一般の認識、理解、評価を養うこと、プロの芸術コミュニティの発展と評価に貢献することなどの目的があります。ハワイ諸島の特徴、ハワイ人々の多文化遺産、芸術家のユニークな芸術作品を手に入れ、それを説明し、保存、展示するという役割も備えています。

ハワイ州庁舎やイオラニ宮殿、ホノルル市庁舎などを含めた一帯は、「ハワイ州都歴史地区」と呼ばれています。ハワイ州立美術館を訪れた後は、このエリアを散歩し、ハワイの歴史を感じてみるのも素晴らしい過ごし方ではないでしょうか。


ハワイ州立美術館
250 South Hotel St. 2nd Floor
Honolulu HI  96813
電話:808-586-9959(英語のみ)
料金:無料
営業時間:10時から16時
休館:日曜と月曜、アメリカの祝祭日

 
補足事項

 https://hisam.hawaii.gov(英語のみ), https://sfca.hawaii.gov(英語のみ)

  • 藤原 小百合 アン
    Anne Sayuri Fujiwara
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。

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