講座詳細
エイミー・グリーンウエル民族植物園
ハワイ固有の植物と、ポリネシアの伝統植物が数多く生息しています。
- ハワイ固有種とポリネシアの伝統植物を見る事ができる植物園
エイミー・B.H.グリーンウェル民族植物園のエントランス
エイミー・B.H.グリーンウェル・民族植物園はハワイ島のカイルア・コナの南から約19kmの場所にある植物園です。この植物園は「Ethnobotanical」いわゆる文化と植物をメインにしている=民族植物園です。 古代ポリネシア人は、ハワイに約30種類の植物を持ち込んだと言われています。エイミー・グリーンウェルは植物にはとても詳しく、研究を重ねていましたが、1974年、53歳の若さで亡くなりました。エイミーの土地はビショップ博物館に寄付されました。現在でもエイミーの意志を継ぎ、この植物園では、ハワイの人々や文化には不可欠な植物が200種類以上、ハワイ固有種、ポリネシアから輸入された植物などを保護しています。
キャプテンクックの記念碑からほど近い場所にある15エーカー(約6万平方キロメートル)の土地に広がる植物園です。植物園の入り口はショップになっているので、そちらで入場料を払うと、貸出し用の植物の本とマップを貸してもらえます。それを頼りに古代ハワイの「アフプア・ア」に基づき作られた4つに区切られたゾーンを歩きます。この植物園をすべて回るには30分から1時間の行程です。
クアイヴィの事が詳しく書かれているマップ
4つのゾーンとはコースタル、ドライフォレスト、アグリカルチャラル(ポリネシアからの植物)、そしてアップランドフォレスト(ウェットフォレスト)に区分されています。植物の名前や説明の札がきちんと整理され、とてもわかりやすく表示してあります。
「Kuaiwi=クアイヴィ」とは、16-17世紀の間に作られた、コナの地域の土地を分けていた石のフェンスのようなものです。クアイヴィの中ではタロなどが、クアイヴィに沿ってバナナ、ティリーフ、サトウキビなどが栽培されました。このクアイヴィの石は多くの水分を逃がすことなく、雑草などの成長を防ぎ、農作物の栽培には適していたと言われています。
コースタル・エリアにはオアフ島の花イリマを始め、ナウパカ、ハウ、ハラ、アーキア、ポーヒナヒナ、イヒ、カマニ、カウナオア、ミロ、ノニ、パウオ・ヒイアカ、ポーフエフエ、ヒナヒナ、ココヤシ、コウなどの植物を見る事ができます。この植物園ではイリマの数が多く、花の中心部分の色がとても濃いブラウン色をしています。簡単には探せないカウナオアも生息しています。カウナオアはラナイ島の花で、エアープラントのように、根を付けずに茎があちらこちらに延び、他の植物に寄生します。茎がオレンジで、花の大きさは約5mmです。プアカラはハワイアン・ポピーと呼ばれ、樹液は歯痛や胃散薬として珍重されていました。
ラナイ島の花カウナオア
コースタル・エリアから少し山手に歩くと、ドライフォレスト・エリアになります。ここにはアアリイ、イリエエ、コキオ、ラマ、ロウル、マオ・ハウ・ヘレ、オーヒアなどを見る事ができます。アアリイは火山から流れる溶岩の上に、すぐに根付く植物です。赤いキャプセルのような種はフラダンサーが付けるハクレイにも使われます。長い根をはることができるので、遠いところからでも水分を吸収できるようになっています。コキオはハワイ固有種のハイビスカスの一つで、コキオ・ケオ・ケオは白い花びらに赤い花心が特徴的です。外来種のハイビスカスはほぼ香りがないですが、このコキオの花は甘い香りがします。マオ・ハウ・ヘレは黄色い固有種のハイビスカスで、ハワイ州の花と指定されています。ハウの仲間でもあるので、花がとても似ています。
その次のエリアは、ポリネシアから伝えられた植物のエリアです。ウル、アヴァ、アワプヒ、タロ、ティ、ククイ、マイア、ワウケなどを見る事ができます。ハワイ固有種のように勘違いしますが、これらはポリネシアンやタヒチアンがハワイに持ち込んだ植物です。ハワイでは昔から主食となっていたタロやウル。マイア(バナナ)もありますので、ハワイアンにとても大切な植物です。アヴァは茎の部分をたたいて、水などと混ぜアルコールの代わりに飲んだり、緩和剤などの薬としても使われました。健康茶などと言われていますが、ふわふわと気持ち良くなる事も事実で、今でもハワイの人には愛用されています。ワウケはカパの材料として使われました。樹皮をたたいてなめし、木型などでたたいて模様や色を付けます。ククイはハワイ州の木として、ククイの花はモロカイ島の花として指定されています。
そして最後のセクションはウェットフォレスト・エリアです。シダの仲間が多く、アマウ、ハープウ、クプクプ、マイレ、オーヒア・アイ、マーマキ、イリアヒ、コア、イエイエ、ホーアヴァなどを見る事ができます。シダの仲間は高温多湿でよく育ち、ハープウは大きなシダとして知られています。昔のハワイアンは食べるものがなくなると、最後の手段の炭水化物として食したと言われています。クプクプは成長度が高くすぐに大きくなります。オーヒア・アイはマウンテンアップルと言われリンゴがなります。 花はオーヒアと名前が付いているようにレフアに似て針山のような花が咲きます。マーマキはお茶として飲まれていますが、 赤い葉脈に特徴があり、薬として使用されました。イリアヒは日本語では白檀として知られ香りが良い木です。昔はカパにも使われ、服などの間に入れ、香りを楽しんだとも言われています。
大きな実がなるハラの木
この植物園の特徴はハワイ固有の植物と、ポリネシア人がマルケサス諸島やタヒチから持ち込んだ伝統植物が数多く生息していることです。また、絶滅危機にある植物の育成や保護に力を入れています。
Amy B.H. Greenwell Ethnobotanical Garden
82-6160 Mamalahoa Hwy.
Captain Cook HI 96704
電話:808-323-3318
入場料:大人一人$7, 子供12歳以下は無料
時間:火曜日〜日曜日 9時〜16時
休み:日曜、月曜日、祝日
ガイドツアー:毎日13時(英語のみ、入場料に含まれる)
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藤原 小百合 アンAnne Sayuri Fujiwara担当講師
【インタビュー動画あり】
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。