講座詳細
カワイアハオ教会
カワイアハオ教会はオアフ島最古の教会。国王の戴冠式も行われた
- オアフ島のキリスト教会の第1号
- 王国時代には国王の戴冠式、結婚式、葬儀なども行われた
- 王国6代目のルナリロ王の墓所もここにある
王族も通ったプロテスタント教会
ホノルルの行政区ダウンタウンにあるカワイアハオ教会は、オアフ島初のキリスト教会。その昔はカメハメハ4世&エマ女王の結婚式をはじめ王族の結婚式や戴冠式、そして葬儀など王族の冠婚葬祭が行われた、ハワイを代表する歴史的な教会です。見るべきものも多く、ダウンタウン散策のおりにはぜひ見学したい史跡といえるでしょう。
創立は1820年。ボストンから初のキリスト教宣教師がハワイに上陸した際、カメハメハ2世と後見人で義母のカアフマヌ女王は、一行に住居と礼拝の場として、ホノルル・ダウンタウンの土地を払い下げました。当初はごく簡素な藁葺きの小屋が建てられましたが、火事や台風などで破壊されること4度。1838年、時の君主カメハメハ3世の命により、今度は当時最も頑強な建築素材だった珊瑚による礼拝堂の建設が始まり、現在の壮麗な建物が1842年に完成しました。初の礼拝にはカメハメハ3世ら王族をはじめ、5000人ものハワイアンが出席して行われたとのことです。
当時、すでに王族の多くがクリスチャンに改宗していたため、教会の後列には一段高く立派なロイヤルボックスが設置されているのも特徴。また聖歌隊にはその昔、ハワイ王国最後の女王であるリリウオカラニ女王や、カメハメハ王朝末裔のバーニス・パウアヒ王女が参加していました。特にリリウオカラニ女王はオルガニストやディレクターとして、積極的に聖歌隊に関わっていたそうです。
以上のような経緯から、ハワイ王国時代には「アリイ(王族)の教会」とも呼ばれていたカワイアハオ教会。そのほか、その立派な姿と規模から「太平洋のウェストミンスター寺院」、1万4000個もの珊瑚のブロックで造られたことから「海から浮かび上がってきた教会」など、さまざまなニックネームでハワイの人々に親しまれ、現在に至っています。
ルナリロ王の霊廟もここに
創立から約200年。カワイアハオ教会の礼拝は今も英語とハワイ語の両語で行われ、ハワイ語の賛美歌も歌われます。またアリイ・サンデーと称して年7回、主要な王族の誕生日前後に、王族を讃える特別礼拝も実施。2階の回廊にはカメハメハ大王から始まる歴代の王族の肖像画も飾られ、礼拝堂に一歩足を踏みいれた誰もが、王朝時代のハワイの雰囲気を色濃く感じることができるでしょう。
礼拝堂の外にも見所が点在。まず正門近くには、王国6代目の君主であるルナリロ王とその母の霊廟があります。人民の近くにいたいとの希望から、ルナリロ王はヌウアヌの丘にある王家の霊廟、ロイヤル・モザリアムではなく、戴冠式を行ったカワイアハオ教会の庭に眠ることを望んだとのことです。
庭にはさらに、王族女性ハオの泉を再現した噴水も見られます。カワイアハオとはハワイ語で「ハオの泉」を意味し、教会所在地のすぐ近くにハオの愛した泉があったことから、教会が命名されました。ほかにカイウラニ王女(リリウオカラニ女王の姪)の屋敷から寄贈されたベンチや、礼拝堂建設に使われた珊瑚のブロックの展示なども、一見の価値があります。
カワイアハオ教会はワイキキから車で約15分、バスなら30分ほど。すぐ近くにあるイオラニ宮殿やカメハメハ大王像とともに見学するのをおすすめします。
カワイアハオ教会
所在地:957 Punchbowl Street, Honolulu
電話番号:808-469-3000
見学時間:8時~16時30分(日曜礼拝は9時~)
ホームページ: http://www.kawaiahao.org
関連コンテンツ
⇒ルナリロ
⇒アワ・レディ・オブ・ピース大聖堂
-
森出 じゅんJun Moride担当講師
【インタビュー動画あり】
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex