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所用時間5min
2020.09.01
ウルマイカ
ここがポイント
古代ハワイで人気だったゲーム、ウルマイカ。どのようなゲームだったのかなど、詳しく学びます。
古代ハワイの人々は、厳しいカプ(社会生活における数々の禁止事項)の下で、それぞれが自分の役割に従って勤勉に働いていました。一生懸命働いた後には、楽しみも待っています。マカヒキです。10月半ばから約4か月間は、戦争、宗教儀式、急を要しない仕事はやめ、人々がスポーツやゲームなどをして、楽しむことができる期間が設けられていました。数あるゲームの中でも、とても人気のあったゲームがウルマイカ(ʻulu maika)です。どのようなゲームだったのか、詳しく見てみましょう。
ウルマイカの始まり
ゲームの名前であるウルマイカ。ウル(ʻulu)、マイカ(maika)、それぞれゲームで使われるディスク型の石のことを指しますが、ウルは植物の名でもあります。それは、ブレッドフルーツ、パンの木と呼ばれるものです。
初期の移民がハワイに持ち込んだ植物で、高さ30m程にまで成長する大きな木で、一度に200もの実をつけるものもあります。その実はタロに並び、古代ハワイでは主食としても用いられていました。この実がまだ若く、小さな段階の物を輪切りにして、それを転がしていたのがウルマイカの始まりという説があります。
ウルマイカに必要な物
・石
ウルの小さな実を輪切りにしたものから、薄い円柱の形に加工した石を使うようになります。昔は様々な大きさの石が使われていたようですが、典型的な大きさは、片手に収まる大きさで、直径約9.5㎝、中心部の厚さは約3.8㎝、外側に向かうにつれて薄くなり、ふちは厚さが約2.5㎝となります。石同士をぶつけたり、こすり合わせたりしながら形を整えていきます。
・2本の棒
30㎝程の木の棒を2本用意します。転がした石を通すために使われるもので、それぞれ、20㎝~25㎝の間隔で地面に刺します。
ウルマイカの二つの遊び方
石と棒の用意をして、ウルマイカ専用の広場(Kahua maika)でウルマイカを人々は楽しみました。ただし、このゲームができるのは男性だけと限られていました*。
(Hawaii State Archivesより。写真左下の2本の棒は、実際は離れた場所に設置します。)
*同じようなゲームで、短く刈った草地を利用して、槍を滑らせて2本の棒の間をくぐらせるイへパへエ(Ihe paheʻe)というゲームがあり、こちらは10歳以上の男女が楽しむことができました。
ウルマイカの遊び方の基本の形は、石を親指、人差し指、中指で持って、ボーリングの要領で転がします。ウルマイカには二つの遊び方があり、一つは、石をどれだけ遠くまで転がすことができるかを競うもの、もう一つは、使う石の数を決めておき、地面に刺した2本の棒から4.5m~6m離れた所から石を転がし、いくつの石を棒の間に上手く通せるかを競うというもので、前者は力の強さを競い、後者は正確性を競いました。ゲームとはいえ、競技としても行われており、観客はどちらの競技者が勝つか、古代では賭けをすることもありました。
古代ハワイで行われていたゲームは、遊びという側面だけでなく、戦争に備え、様々な技術を磨くという側面も持っているものも多くありました。戦争が行われないマカヒキの時期でも、古代ハワイの人々はゲームを通して、自分の技術を磨くことを忘れなかったのです。
現代でも体験できる古代ハワイのゲーム
1970年代に始まったハワイ文化復興運動「ハワイアン・ルネッサンス」は、古代ハワイのゲームやスポーツにも光を当て、マカヒキという言葉と共に、一般の人々が広く古代ハワイの文化を体験できるイベントを生み出しました。コミュニティーでマカヒキを体験できる機会を設けたり、
アイエアでのマカヒキイベント
カメハメハスクールでのマカヒキイベント
モロカイ島でのマカヒキイベント
ワイキキの施設でも、ウルマイカを含め、古代ハワイの文化を体験できるイベントを開催しています。
ワイキキ水族館でのマカヒキイベント
ゲームを通して感じる楽しさは、現代の人も古代の人もきっと同じ。機会があればぜひ、ウルマイカの楽しさ、難しさを体験してみてください。
ウルマイカの始まり
ゲームの名前であるウルマイカ。ウル(ʻulu)、マイカ(maika)、それぞれゲームで使われるディスク型の石のことを指しますが、ウルは植物の名でもあります。それは、ブレッドフルーツ、パンの木と呼ばれるものです。
初期の移民がハワイに持ち込んだ植物で、高さ30m程にまで成長する大きな木で、一度に200もの実をつけるものもあります。その実はタロに並び、古代ハワイでは主食としても用いられていました。この実がまだ若く、小さな段階の物を輪切りにして、それを転がしていたのがウルマイカの始まりという説があります。
ウルマイカに必要な物
・石
ウルの小さな実を輪切りにしたものから、薄い円柱の形に加工した石を使うようになります。昔は様々な大きさの石が使われていたようですが、典型的な大きさは、片手に収まる大きさで、直径約9.5㎝、中心部の厚さは約3.8㎝、外側に向かうにつれて薄くなり、ふちは厚さが約2.5㎝となります。石同士をぶつけたり、こすり合わせたりしながら形を整えていきます。
・2本の棒
30㎝程の木の棒を2本用意します。転がした石を通すために使われるもので、それぞれ、20㎝~25㎝の間隔で地面に刺します。
ウルマイカの二つの遊び方
石と棒の用意をして、ウルマイカ専用の広場(Kahua maika)でウルマイカを人々は楽しみました。ただし、このゲームができるのは男性だけと限られていました*。
(Hawaii State Archivesより。写真左下の2本の棒は、実際は離れた場所に設置します。)
*同じようなゲームで、短く刈った草地を利用して、槍を滑らせて2本の棒の間をくぐらせるイへパへエ(Ihe paheʻe)というゲームがあり、こちらは10歳以上の男女が楽しむことができました。
ウルマイカの遊び方の基本の形は、石を親指、人差し指、中指で持って、ボーリングの要領で転がします。ウルマイカには二つの遊び方があり、一つは、石をどれだけ遠くまで転がすことができるかを競うもの、もう一つは、使う石の数を決めておき、地面に刺した2本の棒から4.5m~6m離れた所から石を転がし、いくつの石を棒の間に上手く通せるかを競うというもので、前者は力の強さを競い、後者は正確性を競いました。ゲームとはいえ、競技としても行われており、観客はどちらの競技者が勝つか、古代では賭けをすることもありました。
古代ハワイで行われていたゲームは、遊びという側面だけでなく、戦争に備え、様々な技術を磨くという側面も持っているものも多くありました。戦争が行われないマカヒキの時期でも、古代ハワイの人々はゲームを通して、自分の技術を磨くことを忘れなかったのです。
現代でも体験できる古代ハワイのゲーム
1970年代に始まったハワイ文化復興運動「ハワイアン・ルネッサンス」は、古代ハワイのゲームやスポーツにも光を当て、マカヒキという言葉と共に、一般の人々が広く古代ハワイの文化を体験できるイベントを生み出しました。コミュニティーでマカヒキを体験できる機会を設けたり、
アイエアでのマカヒキイベント
カメハメハスクールでのマカヒキイベント
モロカイ島でのマカヒキイベント
ワイキキの施設でも、ウルマイカを含め、古代ハワイの文化を体験できるイベントを開催しています。
ワイキキ水族館でのマカヒキイベント
ゲームを通して感じる楽しさは、現代の人も古代の人もきっと同じ。機会があればぜひ、ウルマイカの楽しさ、難しさを体験してみてください。
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ロバーツさゆりSayuri Roberts担当講師
東京生まれ。筑波大学・比較文化学類にて北米の歴史・文化を学び、英会話スクールの講師等を経て、結婚を機にハワイへ移住。Native Hawaiian Hospitality Association主催の歴史ツアー「Queen's Tour(当時)」に参加し、ツアーガイドの方に、日本語の通訳を頼まれたことから、2004年、ガイドとして登録、研修の上、日本語の歴史ツアーを始める。2006年、「Queen's Tour」の終了を機に、ツアーの継続について主催者の了承を得て、Hawaii Historic Tour LLCを発足、「ワイキキ歴史街道日本語ツアー(当時)」(その後「ワイキキ歴史街道ツアー」に改称)を開始。2007年、「ダウンタウン歴史街道ツアー」もスタート。テレビ、ラジオ、雑誌等、メディア出演多数。 『お母さんが教える子供の英語』(はまの出版)著者。
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